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2013 年度 実施状況報告書

絵巻学の創成に向けた理論的基盤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 24652020
研究機関東京大学

研究代表者

高岸 輝  東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80416263)

キーワード絵巻 / 美術史 / 国際情報交換
研究概要

室町時代の絵巻を中心に、諸作品の研究を進めた。研究発表のうち、図書(1)では、16世紀中葉に狩野元信周辺で制作された「酒飯論絵巻」について、ここに描かれたさまざまな図像が中世仏教絵画や絵巻から引用されていることを述べた。さらに、宗論を下敷きとする構成が、15世紀中葉に足利義教の周辺で制作された記録がある「三寺談話絵」に基づく可能性があることを指摘した。図書(4)では、ニューヨーク・パブリックライブラリーに所蔵される17世紀初めの「日蓮聖人註画讃」について、同主題作品の系統分類を試みた。同主題の絵巻は、本圀寺本の研究が軸となってきたが、それとは別系統の作品群も重要であることが判明した。「酒飯論絵巻」「日蓮聖人註画讃」のいずれもが、16世紀京都における富裕な商工民と彼らが支持した法華宗の台頭、これと連動する狩野派の興隆を象徴する作例であり、絵巻における中世から近世への移行を考える際、とりわけ重要である。
学会発表(1)では、『看聞日記』に記された15世紀前半の絵画の貸借・制作・売買などの実態を明らかにし、図書(3)では、足利将軍家の絵巻コレクションの形成について俯瞰した。雑誌論文(1)は座談会という形式で、17世紀中葉に制作された「源氏物語絵巻」を中心に、ここに至る中世からの絵巻の潮流について、見通しを提示した。以上のように、作品研究と史料研究を融合する形で、実例に即した絵巻学の枠組みの構築を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

絵巻に関する作品調査や、国内外の研究者との情報交換を順調に進めている。個別作品の研究に関して、共著の著書や論文の刊行が、予想以上のペースで進んでいる。

今後の研究の推進方策

絵巻を軸とした、古代・中世・近世絵画の展開について、作品研究を推進しつつ、絵巻研究の方法論に関しても、国内外の美術史研究や、国文学・日本史等の隣接分野の研究を横断的に検証する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 世界の源氏物語絵―いまなぜ光があてられたか―2013

    • 著者名/発表者名
      髙岸輝、小嶋菜温子、高橋亨
    • 雑誌名

      アナホリッシュ国文学

      巻: 4 ページ: 4-48

  • [学会発表] 室町時代の公武関係とコレクション

    • 著者名/発表者名
      Akira Takagishi
    • 学会等名
      Treasure, Ritual and Repositories in the East and the West
    • 発表場所
      スイス、チューリヒ大学
  • [図書] 絵が物語る日本 ニューヨーク スペンサーコレクションを訪ねて2014

    • 著者名/発表者名
      髙岸輝ほか
    • 総ページ数
      1-360
    • 出版者
      三弥井書店
  • [図書] 図像解釈学―権力と他者 仏教美術論集42013

    • 著者名/発表者名
      髙岸輝ほか
    • 総ページ数
      1-461
    • 出版者
      竹林舎
  • [図書] 近世やまと絵再考―日・英・米それぞれの視点から2013

    • 著者名/発表者名
      髙岸輝ほか
    • 総ページ数
      1-366
    • 出版者
      ブリュッケ
  • [図書] Archaism and Antiquarianism in Korean and Japanese Art2013

    • 著者名/発表者名
      Akira Takagishi et al.
    • 総ページ数
      1-240
    • 出版者
      The Center for the Art of East Asia, University of Chicago

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公開日: 2015-05-28  

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