本研究は、手書きに即した漢字の楷書体・平仮名・片仮名の実用的モデルを範例として完成させることである。 3年間の研究期間における成果は、文部科学省が定める「学習漢字」1006文字に常用漢字を追加し、平仮名、片仮名を合わせ約1200文字のモデルを作成したことである。ただし、本研究の成果を公開するにあたり、デジタルフォント化を歓迎する声が多く、それらモデルの画像処理(データ化)は完了するものの、そのすべてをデジタルフォント化するにはまだ多くの課題が残されている。現在、平仮名、片仮名のフォント化は一部で公開しているが、フォント化は、すべての文字の量感、バランス、言葉として表示するうえで、文字の大きさの調整が必要となり、平仮名、片仮名のフォント化までにはある程度の時間を要した。予算的な問題で滞っている面もあるが、すべての文字をデジタルフォント化する作業を急ぎたい。 なお、本研究の成果は、これまでに例がなく、各教科書などで範例を作成してきた書者の個人性(特徴)が見られた。それら個人性を極限にまで抑え、あくまで毛筆の特性と伝統(古典)的造形をもって示したものであり、今後の文字指導に広く活用されることを願っている。
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