研究課題/領域番号 |
24652026
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
羽藤 広輔 東京藝術大学, 美術学部, 助教 (60466993)
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キーワード | 白井晟一 / 建築意匠論 |
研究概要 |
本研究の目的は、「書と建築」というテーマのもと、建築家であった白井晟一にとって書を書くことがいかなる意味を持っていたのかを考察することであり、白井の建築に関わる活動と書に関わる活動との相関関係を究明することである。 平成25年度は、白井の建築作品に関する研究を行い、特に「床の間」という具体的要素に着目することとした。床の間は、書と同様、正格とそれを崩した形式との関係性においてその表現を理解されるものだからである。白井は床の間の原型を祭壇に見ており、白井の床の間を含む設計事例を調査すると、長堂式教会堂建築に共通する空間形式が見られた。白井は留学先のドイツでゴシック建築を学んでいたといい、その影響を踏まえ、該当する建築物の視察も行った。 また、白井の床の間や書は他の建築家等による事例との比較を行う必要があり、別フェーズとして設定していた白井以外の事例調査において、床の間等の比較対象の調査を行った。 さらに、白井の遺作であり白井自身がそこで書を書くために設計した住宅「雲伴居」についても研究を行った。白井の書く場所は、書院造の付書院の形式に近いが、白井の建築観に基づけば、その原型は、書院造において装飾的な要素となった付書院の前身であり読み書きのための実用に即した「出付机」に求めることができるのではないかと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画に照らして、その内容をおおむね順調に遂行しており、順調と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、白井の書に関わって語たられた言説を中心に整理を行い、白井に対する評論資料についても収集・整理を行った。また平成25年度には、白井によって設計された床の間の事例の調査を中心に行い、その特徴を究明した。今後は、調査結果の双方にどのような共通点、相違点が見られるかを踏まえながら、書と建築の関連のあり方を考察したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、1000円以下であり、誤差の範囲内である。 1000円以下の金額であり、適宜、補助的に使用する。
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