大英博物館で、パルテノン・フリーズ彫刻の立体模型を平成24年11月~25年5月まで6か月間展示し、25年6月、立体模型は同博物館の資料として正式に収蔵されることが決まった。 平成25年7月、ベルリン自由大学で開催された国際学会「東アジアにおけるギリシャ・ローマ文化の受容」において、「現代日本の美術大学におけるパルテノン彫刻の受容」と題する研究発表及び、模型の展示を行った。古代ギリシャの文化の受容に関して、西洋近代の認識が明治時代の日本へ流入し、それが現代の東京芸術大学における復元研究へとつながることを論じた。 平成25年7月29日~8月9日まで、文星芸術大学(宇都宮)のギャラリーにて、「ギリシャ美術の教育と制作と研究展」と題し、パルテノンの神々の立体模型と、現代作家や学生の作品を並置する展示を行った。近代ヨーロッパの美術教育の指導法(とくに古代彫刻の石膏デッサンの訓練)が、日本では美術教育の基礎として脈々と受け継がれ、現代の造形活動の原動力の一つであることを検証した。 平成26年1月3日、全米考古学会大会(シカゴ)にて、「パルテノン・フリーズの神々の立体復元」と題した発表を行った。古代ギリシャの空間認識と身体表現についての日本での研究成果を、欧米の学界へ発信する重要な機会となった。今後、より大型の復元模型の制作も視野に入れ、さまざまな専門知識を持つ人材と共同研究に向けて協議を進めた。今年度は全体として、研究成果の発信に努め、その結果、今後の研究の基盤を確実にすることができた。
|