研究課題/領域番号 |
24652038
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
三島 わかな 琉球大学, 学内共同利用施設等, その他 (60622579)
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研究分担者 |
大畑 亮子(長嶺亮子) 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 研究員 (30589784)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メディア |
研究概要 |
戦前のラジオ放送における音楽番組の「発信」ならびに「聴取」の様態を明らかにすることによって、近代日本における「音楽的アイデンティティの表象」をひもとくことが本研究の最終的な目的である。 そういった目的のもと、三カ年計画の初年度となる当該年度においては、ラジオ放送における番組「発信」の側面を重点的に調査した。当該年度の実績の概要は、以下の五点である。 (1)ラジオプログラムの内容を明らかにするために、ラジオプログラムが掲載されている各種新聞史料(発刊地:沖縄本島、台湾、中国福建省)を網羅的に収集した。(2)収集したラジオプログラムを史料として、音楽番組ならびに音楽的な要素を発揮したと推察される番組(例:放送劇「子供の時間」、教師の時間、少国民の時間など)内容のデータベース化に着手した。(3)放送劇「子供の時間」という番組枠で放送された作品の制作(脚本・脚色・演出)にたずさわった川平朝申(台北放送局勤務、沖縄県出身者)を対象として、彼が制作した脚本の内容と音楽手法の特色について整理した。(4)台湾での試験放送の嚆矢となった始政三十年記念(1925年)の際の番組内容を明らかにし、そこで放送された楽種の傾向と、その意義について考察した。(5)廈門放送局を対象として同地で送受信された東亜放送(第二放送)の音楽番組の内容(洋楽、日本の伝統芸能・伝統音楽、邦人新作楽曲)を明らかにし、それらの楽種を同時期の放送でとりあげる意義について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の研究計画において、新聞史料調査の面はほぼ計画にそくして遂行できた。しかしながら、新聞史料情報のデータベース化は、予想以上に膨大な作業量と時間とを必要とし、計画どおりには進展していない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の実施予定内容は、以下の5点である。これらは当初の研究計画にほぼ準じているが、一部においては新規追加調査(3)も含まれ、また、聞き取り調査(4)においてはインフォーマントの状況で変更が生じる可能性もある。 (1)平成24年度に予定していた新聞史料(『全閔新日報』ほか)収集において、未収集の年代を継続調査すること。(2)各種新聞史料に掲載されたラジオプログラムのデータベース化を継続すること。(3)『日刊ラジオ新聞(刊行年:1925-33)』(国立国会図書館所蔵)を対象として、すべての刊行年の史料収集をおこなうこと。 (4)ラジオ番組の「発信」や「聴取」に直接間接にかかわった人物に聞き取り調査を実施すること。(5)主として「聴取」の様態を明らかにするために、個人史や回想録などの文献を収集・精査すること。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費の使用計画は、以下の通りである。これらは当初の使用計画にほぼ準じているが、研究計画に一部の見直しと追加調査がはかられたため、それにともなって研究費の内訳にも見直しがはかられている。概算は以下のとおり。 (1)那覇ー東京旅費(2回分、国立国会図書館本館調査、約20万円)、(2)那覇ー台北旅費(2回分、台湾大学附属図書館調査、約20万円)、(3)那覇ー石垣旅費(2回分、石垣市立図書館調査、聞き取り調査、約10万円)、(4)データベース入力作業人件費(約20万円)、(5)インフォーマント謝金(約4万円)、(6)資料複写費(約4万円)。
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