研究課題/領域番号 |
24652039
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
竹内 孝宏 青山学院大学, 総合文化政策学部, 教授 (60302816)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 大衆文化 / 演劇 / 歌謡曲 / 演歌 / 舞踊 / 浅草 / 日本 / 音楽 |
研究概要 |
当初の研究計画にしたがって、浅草木馬館(東京都台東区)でのフィールド調査を継続的に実施し、現在のところ概算で2000件程度のサンプルを収集することができた。もちろん、実際の件数はその何十倍にもなるわけだが、さまざまな制約のなかでの作業としては、また統計的な標本分析にかけるための準備としては、これでひとまず十分な量が抽出されたと考えている。なお、調査にあたっては学生アシスタントも雇用し、できるかぎり多くの機会を確保できるよう配慮した。 さらに、当該年度においては、上記の「量的」作業を「質的」な側面から補うため、専門家(中村桃子氏)をお招きしてさまざまな知見をご提供いただいた。また逆に、報告者が大阪へ出張し、浅草の木馬館にほぼ対応する新世界の朝日劇場(大阪府大阪市)で同様のフィールド調査を1週間ほどおこなった。 文献資料や視聴覚資料の調査と収集が同時並行で実施されたことはいうまでもない。大衆演劇研究については、専門のアーカイブ的施設が存在しないため、こうした資料体構築そのもののために研究費が充当できたのは、きわめてさいわいなことであった。 なお、平成24年度の研究実績は、『青山総合文化政策学』通巻第6号(2013年3月)に「研究ノート」(査読を経たもの)として発表されている。タイトルは「現代の大衆演劇における「大衆性の構造」ーー予備的考察」である。次年度に予定されている統計分析の前段階として、方法論的前提を確認するために書かれたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来このようなプロジェクトは、研究休暇などの期間を活用して網羅的かつ体系的に実施されるのがふさわしいともいえる。いずれにしてもきわめて高い「エフォート率」が要請されるテーマである。研究計画は、そうした本質的な制約を考慮した上で、なおかつできるだけ多くの効果が得られるよう配慮して立てられている。 そうした意味からするなら、本研究の骨格をなす劇場でのフィールド調査が年度をつうじて継続的に安定して実行され、結果的に2000件ほどのサンプルを集めることができたのは、まずまずの達成であると考えている。 専門知識の提供を受ける機会の設定、および出張による現地調査のいずれも研究計画に組み込まれており、かつ予定通りに実施されている。 また、上記「研究実績の概要」でも触れた「研究ノート」は、2年間の研究期間における中間総括としての位置を占めるものでもある。 以上から、24年度の研究はおおむね順調に進行し、ほぼ想定どおりの到達を示しているものと自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
24年度の研究計画が、ほぼ予定どおりに進行しているため、大枠としては、申請時に構想したスケジュールをそのまま踏襲する予定である。 すなわち、前期は引き続き浅草木馬館でのフィールド調査を継続し、より多くのサンプルを得ることができるよう配慮する。ただし現時点では、学生アシスタントの数を減らし、規模をやや縮小する見込みである。大衆演劇の興行は「循環的」であるため、年(度)の区切りはほとんど意味をもたない。いいかえれば、どこから始めてどこで終えるかは、研究のスケジュールや進行状況によって任意に決定することができる。 なお、24年度に収集されたデータのいわゆる「クリーニング」は、やはり25年度の前半で実施する。これについても、分量が多いため、作業の補助要員として学生アシスタントの雇用を考えている。 他方、年度の後半ではデータの分析が主たる作業になる。これについては、単に度数分布を調べる以上の精査が必要となることが予想されるため、SPSSなどの統計解析ソフトウェアを導入することもあり得る。 以上に加えて、資料集成による「コーパス」の構築、専門家からの知識供与や意見聴取、出張による現地調査をつうじた比較検証等の作業は、24年度と同様に適宜実施していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度における使用実績を考慮し、また25年度の研究内容にも配慮しつつ、直接経費60万円については以下のような分配を計画している。 ・人件費:学生アシスタント計3名分の謝金。および専門家の招聘に係る旅費や謝金。40万円程度。 ・出張旅費:夏期休暇などの期間を利用。用務地は大阪。10万円程度。 ・資料代:研究テーマと関連した文献資料および視聴覚資料。10万円程度。
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