本研究は、現代の大衆演劇における「大衆性」の構造を解明することを目的としている。現在、大衆演劇のプログラムは、芝居ではなく舞踊ショーを中心として構成されている。そこで本研究は、まず、大衆演劇の代表的な劇場のひとつである浅草の木馬館をフィールドに、舞踊ショーで使用されている曲目の包括的な調査を実施し、つぎに、収集された約2400曲を統計的に分析し、その傾向や分布を多角的に考察した。さらに、こうして集められたデータは、それ自体が、「出し物」に関する体系的な情報に乏しい大衆演劇研究に対して貴重な資料体を提供することにもなるだろう。
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