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2015 年度 実績報告書

フィロストラトス『エイコネス』の古代絵画史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24652040
研究機関東京藝術大学

研究代表者

羽田 康一  東京藝術大学, 美術学部, 講師 (30240724)

研究分担者 佐野 好則  国際基督教大学, 教養学部, 教授 (50295458)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードエクフラシス / エクプラシス / フィロストラトス / ピロストラトス / エイコネス / 第二期ソフィスト / 神話画 / 風景画
研究実績の概要

フィロストラトス『エイコネス』(絵たち)に関する研究は、従来主として次の二つの関心から行われてきた。一つは古典文献学の側から、いわゆる第二期ソフィストの弁論における修辞学の文献の一つとして。二つにはルネサンス以降の絵画史の側から、『エイコネス』のエクフラシス(美術作品の修辞的記述)と、それに基づいてティツィアーノやプッサンが描いた絵画との比較への関心からである。
しかし何よりも最初になされるべき研究、すなわち『エイコネス』に記述された計80数点の絵画と、古代遺品の図像との体系的な比較照合は最近まで行われなかった。古代遺品の整理分類が進んでいなかったためである。そうした状況を一挙に打開したのがLexicon Iconographicum Mythologiae Classicae, 1981-1999; 2009の刊行である。それ以後、神話画と古代遺品との図像学的照合は遙かに容易になった。
『エイコネス』と古代遺品の照合が盛んになったもう一つの要因は、陶器画ではなく、古代の大型絵画の実際の描法に近い、大理石や漆喰の上に描かれた絵画遺品の陸続たる発見と、それに対する自然科学的研究の進展である。こうして図像学とは別の視点からも研究が進んだ。
古典文献学的手続きの上でも絵画史的註解という意味でも、これまでで最も優れた『エイコネス』の註解はO. Schoenberger et al., Philostratos: Die Bilder, 1968であるが、上記2つの意味で、今ではきわめて不十分と言わざるを得ない。これを更新することが本研究課題の目標であった。
最終年度は、以上すべての視点・問題意識からこれまで4年間追究してきた成果をまとめることに努めた。今後、彫刻に関するエクフラシスの代表作であるカッリストラトス『エクフラセイス』の註解を加えて、2017年に刊行する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] (書評)M.L. West, The Making of the Odyssey2016

    • 著者名/発表者名
      佐野好則
    • 雑誌名

      西洋古典学研究

      巻: 64 ページ: 129-131

  • [雑誌論文] プルタルコス「ピュティアの神託について」における観光案内人(ペリエーゲーテース)の役割2016

    • 著者名/発表者名
      山口京一郎
    • 雑誌名

      ICU比較文化

      巻: 48 ページ: 43-61

  • [雑誌論文] セネカ『自然研究』6巻における地震による地裂現象と関連表現の役割──導入部と最終章を中心に──2016

    • 著者名/発表者名
      山口京一郎
    • 雑誌名

      西洋古典学研究

      巻: 64 ページ: 50-61

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 〈リアーチェの戦士A/B〉の色彩2015

    • 著者名/発表者名
      羽田康一
    • 雑誌名

      アジア鑄造技術史学会研究発表概要集

      巻: 9 ページ: 43-45

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 『オデュッセイア』第22巻の求婚者殺戮場面再考──特にアンティノオスの死(8-21)とエウリュマコスの死(69-88)をめぐって──2015

    • 著者名/発表者名
      佐野好則
    • 雑誌名

      フィロロギカ

      巻: 10 ページ: 1-13

    • 査読あり
  • [学会発表] 〈リアーチェの戦士A/B〉の色彩2015

    • 著者名/発表者名
      羽田康一
    • 学会等名
      アジア鑄造技術史学会
    • 発表場所
      中部大学名古屋キャンパス
    • 年月日
      2015-08-30
    • 国際学会
  • [学会発表] 地震の地裂による死の恐怖への応答と死そのものの受け入れ──セネカ『自然研究』6巻の表現手法2015

    • 著者名/発表者名
      山口京一郎
    • 学会等名
      日本西洋古典学会
    • 発表場所
      首都大学東京
    • 年月日
      2015-06-07

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公開日: 2017-01-06  

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