本研究は、従来のゴング・チャイムという楽器ではなく、インターロッキング様式という楽器演奏法(個別音分担奏)に着目して東南アジア音楽文化圏を再画定しようという試みである。 3年間の現地調査の結果、この新しい音楽文化圏の北限である台湾から、南限のインドネシアに至るまで、その中間に位置するブルネイも含めて、東南アジアにおけるオーストロネシア語族の分布域にインターロッキング奏法が見られることが明らかになった。すなわち、本研究の目的である東南アジア音楽文化圏の再画定が可能となったのである。さらに、音高を伴うポリリズムを原初形態とするインターロッキング奏法の成立過程の一端を解明することもできた。
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