研究課題/領域番号 |
24652048
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
加藤 禎行 山口県立大学, 国際文化学部, 講師 (10318727)
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キーワード | 新聲社 / 出版研究 / 佐藤儀助 |
研究概要 |
平成25年度における科学研究費(挑戦的萌芽研究)の具体的な研究実績としては、学術論文の執筆公表および学会等での研究発表ともに、挙げることができなかった。むしろ平成25年度においては、資料の閲覧と複写収集した資料の分析にリソースをより多く注力することとなった。 とりわけ新聲社発行の叢書アカツキについて、その物語内容の分析、出版形態の考察を注意深く行った。叢書アカツキを所蔵する公共図書館・大学図書館は、決して多くなく、たとえば早稲田大学中央図書館本間久雄文庫などで原本の閲覧ができるが、その出版形態は一見すると単行本として発行されているように見えつつも、書誌情報を確認していくと、月刊の逐次刊行物の体裁を保っているようにも見える。こうした明治中期の出版物のありようを包括的に捉えるべく、類書や同時代の叢書出版の事例調査に従事した。また新興出版社としての新聲社が、みずからのブランドイメージをどのように形成しつつあったのかといった着眼点からの考察を行う場合にも最適の資料であることが確認出来た。 平成26年度は、よりいっそう着実に、関連する資料閲覧および資料分析を進めることで、本研究計画を遂行して行きたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
三年間の研究期間を通じて行う基礎作業として、(1)新聲社出版物調査、および書誌情報の充実、(2)新聞雑誌の調査、(3)明治期出版物の調査の三点を、研究計画書では掲げた。 (1)は、新聲社刊行物のうち未確認出版物の確認と情報精度の向上を目指し情報蓄積を目的とするもので、一点一点の出版物の性格を具体化し、新聲社の総体的なブランドイメージを可視化することを目指すものである。(2)は、同時代の文芸雑誌、新聞等に掲載された新刊紹介記事・書評・出版広告・同時代評など、新聲社出版物に関係する副次的な資料を調査収集することで、新聲社の出版活動を再構成することが狙いである。(3)は、同時代に併存していた出版社の出版物を適宜参照することで、新聲社出版物の特性および同時代性を測定するためのものである。平成25年度は上記三点の基礎作業について、持続的かつ継続的な資料調査を行うことができた。 しかしながら、平成25年度の研究については、研究計画書に掲げた個別の課題について取り組みつつも、具体的な研究成果にまで展開させることができなかったという点で、やや遅れている、という自己評価をするに至った。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書作成の時点では、平成26年度の研究計画について「森山吐虹による新聲社刊行物の検討」「同一紙型による再刊本の検討」の二項目を研究実施計画欄に記入していたが、同時に資料的な裏付けの取れたものから優先的に進行させ、随時作業を展開していくとも記していた。 そこで本年度は上記の二項目についても研究を遂行していくが、積み残されている「叢書「アカツキ」の検討」についても、平成25年度から継続的に注力していく重点的な検討課題の一つとしたい。また新聲社出版物が、社会問題・社会主義に近接していく明治35年前後の状況も踏まえながら、書誌情報分析結果の公表に注力していく所存である。 平成26年度の研究計画においても、よりいっそう着実に、関連する資料閲覧および資料分析を進めることで、本研究計画を遂行して行きたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年3月に文献資料調査のための出張を予定していたが、本務との調整が付かず、当初の旅程を果たすことが出来なかったため。平成26年度においては、調査出張の旅程を適切に果たしていくよう心掛けたい。 平成26年度において、調査出張もしくは文献資料の複写・購入等にあてることで、適切に研究経費の執行を計画・実施していく予定である。
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