研究課題/領域番号 |
24652049
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
牧野 和夫 実践女子大学, 文学部, 教授 (70123081)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 趣味家 / 集古会 / 林若樹 / 我楽他宗 / 大野麦風 / 奈良絵本 / 浪華趣味道楽宗 |
研究実績の概要 |
本研究は、近代における趣味家の活動が、多方面な領域に与えた影響を包括的に量ろうとする研究であり、その根本的な基礎研究である点に特色がある。また、専門とする中世文化(文学)との連続性の検証を視野に入れた研究である点にも特色がある。 これらの特色を活かすべく、研究代表者牧野は関連する学会・研究会などに積極的に参加し発表を行った(サントリー文化財団研究助成プロジェクト第2 回国際シンポジウム〈テーマ「東アジアにおける大衆的図像の視覚文化論」〉「研究史の交点について――庭つづきの〈学問領域〉」2014・12・27 於同志社大学)。 今年度は、大正・昭和前期の趣味家をめぐる「紙もの」資料が比較的豊富に市場に出たこともあり、つとめて蒐集を軸にした活動に注力した結果、諸領域(絵葉書蒐集・玩具蒐集ほか)の趣味家との緊密な連関を確認すべく、包括的な試掘を試みようとする26年度の課題は、極めて限定的なものとならざるをえなかった。関西方面の訪書・調査を一人で試みた以外、機関所蔵資料の実地調査を行わなかったが、関西の研究者との情報交換・収集などは比較的多く実施でき有益であった。蒐集資料などは、諸文庫・機関の所蔵資料を間接的なかたちで補強しうるもので、一部は資料公開を含めて紹介を行い、前述のシンポジウムの発表にも活用した。27年度に向けた、更なる関連資料の調査によって明らかになることは多い、と思われる。 中世文学(文化)との連続性の検証として、文学史用語の生成に関する資料を継続して補充し、論文を公刊した(牧野和夫「中世文学〔美術〕史用語の生成・定着と内国勧業博覧会」(『実践国文学』87号 2015・3・15)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近代における趣味家の活動が多方面な領域に与えた影響を包括的に量り、専門とする中世文化(文学)との連続性(屈折や廃棄、忘却などをも)の検証を視野に入れた研究である点に特色がある。 この特色を活かすべく、試掘にも近い試みを継続して、いくつかの点に逢着したが、いずれの問題も趣味家の蒐集と創作(文学・美術など)とに係る「場」としての「あつまり」に帰着するのである。 集古会・浪華趣味道楽宗・我楽他宗(神戸など)などが挙げられる。これらの資料を中心に考察を加える段階に達しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
繰り返すが、近代における趣味家の活動が多方面な領域に与えた影響を包括的に量り、専門とする中世文化(文学)との連続性(屈折や廃棄、忘却などをも)の検証を視野に入れた研究である点に特色があり、この独自性を更に発展させる方向で研究を推進していく。 資料の多くが時期的に蒐集可能な範囲にあり、あくまでも蒐集整理が軸になるものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、大正・昭和前期の趣味家をめぐる「紙もの」資料が比較的豊富に市場に出たこともあり、つとめて蒐集を軸にした活動に注力した結果、諸領域(絵葉書蒐集・玩具蒐集ほか)の趣味家との緊密な連関を確認すべく予定した、図書館・文庫などの諸機関への調査が極めて限定的なものとならざるをえなかった。 3人乃至4人でやや長期に行う予定の訪書予算を確保できず、短期訪書旅費として次年度使用の額が残ることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度中に、専門分野を異にした2人乃至3人で数日の訪書調査を予定している。
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