〈東アジアにおける「文学―文化」の「闇」ルートと運動の力学をめぐる研究〉と題した本研究では、帝国日本の解体以後、軍事独裁政権下にあった韓国の民主化運動に対し、日本の「文学―文化」が大きな関わりを持っていたことに注目した。とりわけ、「文学―文化」的「交流」に関しては、軍事独裁政権によって公式的には輸入が禁じられた、「民主化支援」に関わる書物・人・資本の移動が盛んに行われていたことが明らかにされたことはない。「亡命」「密航」ルートと交錯していた、文化の「闇」ルートを浮上させ、国交「断絶/正常化」という神話に囚われていた、日韓の近現代「文学―文化」研究に新たな論点を提起するための土台作りができた。
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