17世紀以来、英語による文学作品に表現された科学へのさまざまな関心は、20世紀になって成立した英文学研究において、十分に歴史的文脈を与えられて正当に理解されているとは言いがたい。本研究は英文学研究の制度化において文学テキストへの非歴史的アプローチが原型的規範である点を問題とし、そのため文学テキストの理解においても、今日まで発展してきた自然に関する科学的知識の体系を歴史化して捉えることが少ないこと、そして現代の英文学における自然科学の理解が、科学的知識から独立した、すなわち疎外されたものと考えられることを指摘したものである。
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