本研究では、他者(文化)との葛藤の中で傷を受けた共同体における<芸術的イマジネーション>の役割を「文学」「視覚文化」の両面から考察した。「空間的な特定の場」を成立の要件として「メッセージ性」の強い「パブリック・アート」と、「特定の場所や時間」を作品内で描き出したとしても「空間芸術」ではない、それゆえに「空間的制限」に縛られない「文学」という、<イマジネーション>が形を取る際の二つの媒体には大きな差異がある。本研究は北アイルランドの詩人Sinead Morrisseyによる視覚芸術を中心に据えた詩を論じることによって、芸術作品の倫理的役割の差異と補償性を考察し、国内外の学会で発表、発刊した。
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