研究課題/領域番号 |
24652066
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
越野 剛 北海道大学, スラブ研究センター, 准教授 (90513242)
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キーワード | ロシア / ベラルーシ / 極東 / 戦争の記憶 / 地域間比較 |
研究概要 |
●9月前半に、ミンスク・モスクワで複数地域の研究者による合同調査を実施した。9月11日、モスクワではロシア国内の研究者・作家10名をまじえてロシア、日本、中国、ベトナムの戦争記憶を比較する研究会を組織した。 ●3月5日~8日まで、中国研究者と共同で大連・旅順の合同調査を実施した。第二次大戦のソ連軍戦没者墓地の調査ではロシアにおける戦争の記憶の変容と再生が国外にまで及んでいることを確認した。3月19日~25日のミンスク調査では、ベラルーシ国立大学のブリシュ氏、作家マルチノヴィチ氏、作家フェダレンカ氏などを取材して、現代文学におけるロシア語の位置づけや戦争の記憶について意見聴取した。またユダヤ系作家ヒルシュ・レレスに関する資料収集を行った。 ●9月8日の東アジア学会では戦争犠牲者の表象に関するパネルを、カナダ、韓国、日本国内の研究者と協力して組織した。12月11日の北海道大学のシンポジウムでは、日本研究者シートン氏、気鋭のロシア研究者ウシャーキン氏などを招き、ロシアと極東地域における戦争記憶に関するパネルを組織した。 ●9月8日の東アジア学会、12月21日のソウル国立大学でのシンポジウムでベラルーシの戦争記憶に関する口頭発表を行った。その成果は査読誌『地域研究』14-2号に論文として掲載された。あわせて同号では旧ソ連、中国、ベトナムの戦争記憶を比較する特集企画を担当した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
●本科研の申請書に記した計画の通り、基盤B「社会主義文化における戦争のメモリースケープ」の申請が受理されたことが、隣接分野の研究者との共同研究推進のための追い風となった。 ●予定していた極東地域の調査は、隣接地域でロシアとの文化接触の歴史がある中国東北地方(大連・旅順)の調査に置き換えた。ただしロシア極東地域の調査が必要であることにかわりはなく、次年度以降の課題となった。 ●9月11日にモスクワで実施した国際研究会、および査読誌『地域研究』に論文を発表したことにより、国内外での研究成果の発信を効果的に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
●9月初めに中国研究者と共同で、ロシア極東および中露国境地域の共同調査を実施する。 ●9月末には東欧文学研究者と共同で国際シンポジウムを計画している。本科研費でベラルーシ研究者1名を招へいして、地域間比較の試みを推進させる。 ●年度後半に、韓国およびサハリンの研究者との連携により、極東地域の文学や朝鮮系ロシア語作家に関する共同のワークショップを開催する。 ●三年間の研究期間の最終成果として査読雑誌に論文を投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
出張旅費などの経費使用の節約に努めたため若干の繰越金(次年度使用額)が生じた。 次年度使用額をロシア極東地域の現地調査のための予算に加えて使用する。
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