本研究の成果としては主に次の3点が挙げられる。(1)オックスフォード大学で資料調査をおこない、近年改められた目録と旧目録の差異を検討した。それにより新たな整理によって資料構造に大きな変化がもたらされていることを確認した。また、アーカイビング記録の欠落やデジタルデータの漏れも発見された。(2)批判版全集の編集者らにインタビューをおこない、現物調査の困難な個人所有の手稿資料についてさまざまな情報を入手した。(3)本研究の課題設定の根拠となった仮説に基づき、カフカ・テクストの本質的に新しい解釈も試みた。その成果を期間内に書籍という形にまとめ出版することができた。
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