本研究の目的は、医学・精神病理学の三つの概念、免疫・タブー・徴候に共通する現象、境界/周縁で起るマー キング作用に着目し、これを地霊に宿る文化の深層記憶(文化免疫作用)による主体的 印づけ=各文化を区分するタブー(印づけ)の痕跡と同時に徴候(歴史の予兆としての死の記憶)と措定した上で、そのメカニズムを解明することにより、死(者)の詩学の視座から政治・社会学に偏重される今日の文化学を逆説・異化する新しい学の一モデルを示すこと。対象地域は周縁のしるしづけ作用が今も活発に働き、比較精神史上重要な東西二地域―1 極西アイルランドの国土を二分する煉獄巡礼地帯、2 極東・東国の境界・鎌倉七口切通し一帯。
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