研究課題
日本語では、同じ内容の発話であっても、終助詞の使い方一つで相手に様々な印象をもたらし、違和感や不快感を与えることさえある。終助詞がその後の相手との関係に影響するなら、その感受性は個人の対人調整能力によって異なると予測される。本課題は、不適切な終助詞「ね」に接した際に聞き手が覚える違和感が何に由来するか、それに対人調整能力がどのように影響するかを明らかにするものである。そのために、「自閉症スペクトラム指数」の質問紙によって、各日本語母語話者の対人調整能力を測定する。その上で、母語話者に終助詞を含む対話を聴かせ、脳波の中で特定の出来事に付随して生じる事象関連電位(Event-Related Potentials: ERP)を測定し、その成分と対人調整能力との関連を検討する。2年目である25年度には、初年度で行った終助詞適切性判断課題中のERPに自閉傾向が有意に影響するという結果を受けて、適切性判断を行わずに終助詞を聴いている間に観測されるERPと自閉傾向の関係を調べる実験を行った。その結果、初年度に行った最初の実験と同様に、自閉傾向によって不適切な終助詞「ね」を聴いた際に現れるERPに有意な差があることが分かり、最初の実験結果を追認した。最終年度である26年度には、上述の2つの実験結果を統合し、自閉傾向がどのように終助詞「ね」の感受性に関わっているか解釈の方向性をまとめる。そして国際学会での発表を経て、国際学術誌に投稿するよう準備を進める予定である。
2: おおむね順調に進展している
予定していた2回の実験・分析を終え、最終年度である26年度には成果のまとめ、発表に充てることができる。
これまでに得られた2つの実験結果を統合し、学会発表を経て論文を執筆する。
25年度には、2回目の脳波実験を行い、主に被験者謝金と実験補助者謝金に補助金を充てた。配分額はほぼ使用したが、2,750円というわずかな残額が生じた。これは最終年度の配分額と合わせて使用することにした。次年度使用額は2,750円とわずかなである。26年度の最終年度には、分析結果のまとめ、成果の発表(学会発表、論文執筆)等を行う予定だが、それにかかる費用の一部とする。
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