研究課題/領域番号 |
24652082
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
太田 一郎 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (60203783)
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研究分担者 |
竹村 亜紀子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (50597309)
宇都木 昭 名古屋大学, その他の研究科, 准教授 (60548999)
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キーワード | 社会言語学 / 言語変異理論 / 方言 / 語の音調型 / メディアの影響 / 言語変化 |
研究概要 |
【具体的内容】今年度は収集したデータのうち,単語読み上げスタイルにおける語アクセント変異に関連する要因の特定を行った。鹿児島方言の語アクセントの変異については,窪薗(2006)等で,本来A型アクセントの語がB型で,B型アクセントのものがA型で発音されることが指摘されており,窪薗はその理由のひとつにメディアの影響があると示唆している。そのため,話者の社会的属性に関する調査の中に,メディアの影響をとらえるための項目を組み込み,その他の話者項目と併せてアクセント変異の出現との関連を統計解析によりとらえることを試みた。この話者調査に関しては,海外研究協力者である英国グラスゴー大学のJane Stuart-Smith教授らがグラスゴーの若年層労働者階層の言語変異研究で使用した調査フォーマットを利用した。その結果,(1)従来言語変異研究で指摘されてきた社会的要因(言語接触,社会ネットワーク,話者のパーソナリティなど)とアクセント変異に関連が見られる結果が得られた。(2)加えて,テレビの視聴等,ある種のメディアに関する項目(詳細の公表は現時点では控えたい)とアクセント変異と関連を示唆する結果が得られた。その結果の一部は2013年8月の国際学会Urban Language Seminar 11 (広島市)において発表した。 【意義,重要性】言語変化とメディアの関連については,日本では経験的に影響があるとは考えられていても,科学的に実証された研究はほとんどなかった。唯一の例外はグラスゴー大学の研究チームの結果である。今回本研究でも同様に言語変異へのメディアの影響をとらえる可能性が出てきたことは,新たな言語変異に関する理論構築へとつながるものであり,今後の言語変化,言語習得の研究に大きく寄与するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,(1) 発話の産出,(2) 発話の知覚,(3) 話者要因,(4) メディア要因(日常的なメディアへの関わり方などのメディアに対する行動等)のアクセント変異との関連を検討し,その影響の大きさの検証を行っている。現在のところ,(1), (3), (4)についてはデータの収集は終わっている。26年度は (2) についても調査する予定。
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今後の研究の推進方策 |
【今後の推進方策】研究計画はおおむね順調なので,今後もこのまま遂行したい。26年度はすでにオランダで行われる国際方言学会(Methods in Dialectology 15)での発表が採択されているので,単語読み上げスタイルの変異とメディアの影響について,これまでの結果をまとめて発表する。また,データ分析の範囲を広げ,自然談話でのアクセント変異とメディアの影響についても考察を進め,これまでの結果についての裏付けを進める。理論の構築については,分担者,海外共同研究者らと十分協議を行う。 【計画の変更】ただし,研究内容については変更の必要がある。先述の(1) 発話の産出については,「研究計画」では,個人話者がどのように方言アクセントを習得しているか以外に,ニュース読み,アニメ台詞の模倣などメディアで使用される言語特徴がどのくらいうまく使えるかというメディア言語の使用能力についても調査を予定していたが,これらはニュースやアニメの言語特徴についての記述的研究を先に行う必要がある。今回の研究ではそれらの特徴の記述まで行うには時間が足りないとわかったので,これらは本研究が終了後のテーマとしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際学会での旅費のために節約した。 国際学会での旅費に使用する。
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