研究課題/領域番号 |
24652086
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
堀田 秀吾 明治大学, 法学部, 教授 (70330008)
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研究分担者 |
首藤 佐智子 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (90409574)
藤田 政博 関西大学, 社会学部, 准教授 (60377140)
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キーワード | 商標 / 法言語学 / 法と言語 / 一般名称化 / 事象関連電位 / 心理言語学 / 脳波実験 |
研究概要 |
平成25年度は、当初の計画通り、「ホッチキス」のように商標が同様の製品を総称的に意味する語になってしまう「商標の普通名称化」に焦点を当てて調査を進めた。法律家による言語分析の傾向を抽出するため、日本の判例を中心に資料収集を行なった。また、商標の普通名称化を生じさせる言語使用の要因を明らかにするため、事例調査を終え、実験に刺激として用いる言語表現を決定した。そして、脳波などの生理指標を利用して、商標に普通名称化の程度等の差異が生理指標に表れるかを観察することによって、分析の心理的言語学的基盤を探った。これについては、事象関連電位を測定した結果、普通名称化が起こっている商標に独特の反応が存在することが明らかになった。実験結果については、平成26年5月末にミネソタで開催されるLaw and Society Association Annual Meeting 2014で公表する予定である。さらに、文献調査および国内の法実務家へのインタビューをした結果を通して、一般名称化した商標の分析モデル、および実務上の対策方法について研究チームで議論した。分析モデルの大枠は決まってきたため、次年度に行う最終的な言語分析モデルの開発に向けての布石は打てた。また、平成25年度の研究結果については、平成25年6月にボストンで開催されたLaw and Society Association Annual Meeting 2013 にて公表済みである。また、研究結果の一部は、堀田 (2013)に掲載されている。また、現在刊行準備中の「法言語学入門(仮題)」にも掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画は、当初の予定よりいくつか遅れている部分はあるものの、最も重要な脳波実験が成功し、有意義な結果を得られたことは、次年度での更なる発展に向けて大きな追い風となるだろう。来年度は引き続き実験と判例調査、および分析モデルの開発を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は、前年度までとほぼ同様に、文献調査、判例調査、および実験などの方法で、著名商標が別のジャンルの物品・サービスの名称に使われることによって、商標の価値や商標の識別力が減じられる結果を招く「商標の稀釈化」という現象に焦点を当てて研究していく。 同時に、前年度までの調査結果を踏まえ、商標の識別力に関して、言語学を応用することで、より高い客観性および再現性をもってた分析方法を提案する。 また、可能であれば,外国において外国語の商標についても同様の実験を行い、日本語で観察される事象が同様の振る舞いを外国語においても見せるかどうかまで検討することを予定している。
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