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平成26年度は、自然言語の形式的意味表現に関するこれまでの研究に基づき、含意関係コーパスの分析と、意味の統一的記述枠組みの研究を進めた。前者については、含意関係認識タスクの評価データを整備し、評価タスク RITE-VAL のオーガナイズを行うとともに、これまでの評価タスク RITE、RITE2 および今回の RITE-VAL のデータの分析を行った。さらに、この分析に基づき、後者の研究を進めた。具体的には、含意関係認識のための意味記述および推論手法を提案し、含意関係認識評価データにおいてその有効性を示した。本システムでは、形式論理に基づく一般的な推論（三段論法など）に加え、時間や一般化量化子に関する推論、さらに WordNet などの語彙知識や単語の分散意味表現に基づくパラフレーズ認識を統合した推論を実装している。モダリティやテンス・アスペクトに関する推論は未実装であるが、理論的には統合することが可能である。実験では、これまで提案された表層的類似度に基づく手法や一階述語論理に基づく推論システムよりも高い精度を達成することが示された。一方、まだ含意関係認識の精度は実用レベルからは遠いのが現状である。データやシステムの出力結果の分析によると、含意関係認識が難しいケースの多くは、フレーズ間の同値関係・排他関係の認識が不完全であることによる。逆に言うと、論理推論や時間関係の推論が原因であることは少ない。したがって、より高精度な含意関係認識システムを実現するためには、パラフレーズ認識の高精度化が必須であるとの結論に達した。
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