研究課題/領域番号 |
24652090
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石塚 晴通 北海道大学, -, 名誉教授 (10002289)
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研究分担者 |
池田 証壽 北海道大学, 文学研究科, 教授 (20176093)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 漢字字体 / 敦煌本 / 正倉院本 / 初唐標準 / 開成標準 |
研究概要 |
漢字字体史研究の基礎資料とするため、中国南北朝・隋・初唐および日本奈良朝の経巻の本文をデータベース化し、この時期の字体とその揺れを実証的に記述し、『干禄字書』等の字様書と比較するための基礎資料とする。楷書字体の形成期にあたる中国南北朝・隋・初唐の漢文写本は敦煌本と正倉院聖語蔵本に多数存し、それらに基づく日本写本も正倉院聖語蔵(天平十二年御願経・神護景雲二年御願経)に存する。これら日中の古経巻は原本画像が公開・出版され、有益な研究資料となっているが、文字列の検索に不便があり、字様書との比較も困難度が高い。本研究では、経巻の本文データベース構築によりその改善を図って、所用の漢字字体を記述し、各種字様書との比較の基礎資料とする。本年度は次の研究を遂行した。 (1)敦煌本の年紀・料紙・書体等の書誌的特徴から書写年代が明確な経巻10点を選択して、その本文テキストデータベースを構築した。(2)正倉院聖語蔵隋写本のすべてについて、本文テキストデータベースを構築した。(3)敦煌本・正倉院本経巻の本文データベースと本文画像の情報をリンクして、検索して得られた文字列を本文画像でその字体を容易に閲覧・確認できるシステムのプロトタイプを構築した。(4)敦煌本・正倉院本経巻の実用例と字書記述との比較対照資料のプロトタイプを構築した。(5)敦煌本・正倉院本経巻を含む「漢字字体規範データベース(HNG)」(代表者石塚晴通)を利用して、漢字字体の実用例と字書記述との対照研究の方法論提示を主眼として研究書『漢字字體史研究』を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
敦煌本と正倉院本との公開画像を駆使して本研究の目的に適うデータベースを構築することは、おおむね順調に進展している。24年度は、漢字字体の実用例と字書記述との対照研究において、研究協力者の積極的協力を得て当初の予想以上に研究を進展させることを得た(『漢字字體史研究』の刊行)。
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今後の研究の推進方策 |
敦煌本の内、公的性格の強い初唐宮廷写経と同時期の私的写経との本文文字データベースを構築し、又正倉院本聖語蔵唐経のデータベースを構築する。又、敦煌本・正倉院本聖語蔵経巻の本文データベースと本文画像のリンクを構築する。又、敦煌本・正倉院本聖語蔵経巻の実用例と字書記述との比較対照資料を作成する。これらに基き、研究協力者の協力も得て研究書を編纂する。
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次年度の研究費の使用計画 |
敦煌本・正倉院本聖語蔵経巻データベース構築の為の入力謝金に使用し、又、それに伴う若干の物品費に使用する。又、研究協力者との打ち合わせや資料調査の旅費に使用する。
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