1.敦煌本について、長安宮廷写経以外の初唐経巻の本文文字データベースを作成した。特にP.2444及びP.3233の洞淵神呪経(664年)、P.2881法華経(670年)はフランス国立図書館において原本調査を実施し、テキストデータベースに加えて、文字画像データベースも作成した。 2.正倉院聖語蔵の天平十二年御願経・神護景雲二年御願経について、敦煌本と比較すべきテキストの選定を行い、一部について本文テキストデータベースの構築を試みた。 3.敦煌本・正倉院本経巻の本文データベースと本文画像とのリンクを構築・整備した。このシステムは、HTML文書においてPerlスクリプトを実行することで本文テキストと原文画像とを対照するもので、簡易なものであるが、十分な実用性を持つものである。また、画像ファイルから一文字ずつ切り出すためのPerlスクリプト等の作成も行った。 4.字書・韻書・音義の字体規範の記述との対比するために、原本『玉篇』、『切韻』残巻(P.2011)、天治本『新撰字鏡』、観智院本『類聚名義抄』、図書寮本『類聚名義抄』のデータベースを整備した。 5.漢字字体資料の原本調査について、国内では京都国立博物館・東洋文庫・高山寺等所蔵の字体資料の原本調査を行うとともに、大英図書館所蔵の字様書スタイン本S.388の調査を実施し、字体比較資料の精度を高めた。 以上から得られた研究成果を、中文論文(石塚)および訓点語学会研究発表会(池田)において公表した。
|