研究課題/領域番号 |
24652091
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山田 健三 信州大学, 人文学部, 教授 (00221656)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 平仮名 / 書記システム / 平安時代の仮名システム |
研究概要 |
研究課題「「平仮名」の言語史的意味と変遷の解明を中心とする日本語書記技術史研究」に関して、「「平仮名」の言語史的意味」について、平成24年度計画では、諸資料の収集が主目的となっており、それは計画通り行っているが、それに加えて、次の諸点を明らかにしえたと考えている。 I 平安期における「仮名」と「平仮名」の違いについて/II 平安期における「平仮名」書体の実際について/III 平安期における「平仮名」という用語の存在可能性について/IV 上代における「仮名」という用語の存在可能性について これらの問題については、既に第107回訓点語学会にて「平安期日本語書記システムにおける「平仮名」の位置」と題して口頭発表を行っている。(2012年10月21日、於東京大学)I~IIIの問題は、全てこれまで不明とされてきた問題ばかりであるが、本研究では、資料(古代歌謡資料「神歌抄」(伝源信義筆、国宝、10~11世紀の写)と書記システムの観点からの分析により、これらについて新たな見解を述べた。また、IIIについては、口頭発表でも触れるところではあったが、論考「書記用語「万葉仮名」について」の結論の一つとしてやや詳しく述べた。III・IVについて簡単に言えば、文献的徴証はないものの、これらの用語が存在した可能性が高いことを「内的再建」の方法により推定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画のうち、資料収集など研究インフラに関する部分は計画通り進んでいる。 また、実際の研究内容については、資料分析の進展や、新たに発見報告された資料(考古資料など)により、当初の計画の中では前後したり、計画になかった点を組み込んだりしているが、当初の予想を超える進展が見られている。ただ、それは平安期に於ける「平仮名」の分析に関する部分であり、別の時代における意味づけについては、当初計画通り、来年度以降の課題である。
|
今後の研究の推進方策 |
当初計画通りである。関連学術情報の収集・資料調査を継続的に行うとともに、収集した資料の分析に重点を置く。関連学術情報の収集は、各種文庫・博物館などの「仮名資料」の実物展示の閲覧・調査や、学会参加による研究者間の情報交換などを継続的に行なう。収集した資料の分析のうち、平仮名成立期の言語史的意味については、ほぼ一定の結論を得たが、今後は後世における書記史上の意義の記述が必要となる。現在は、上杉家文書に含まれる「伊呂波尽」(米沢上杉博物館所蔵)と、葛原勾当の「かな判子」による日記資料を、特に併行的に分析をすすめている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究の中心的資料となる「かな文献」は、骨董美術品的価値・書道的価値のあるものについては、それなりの整理がされ資料集も作られているが、より一般的な「かな文献」までを視野に入れるとなると、その全体像は膨大で、およそ全体が見渡せるものではないので、様々なジャンルに目配せをして根気よく継続的な資料収集を行う必要がある。近年では、発掘資料なども増えている。こういった資料情報を入手するためには、日本語学・言語学・歴史学関係書籍の購入と、調査・学術情報収集・学会および研究会参加のための旅費が必要となり、研究費は主としてこられに充てられる。 なお当初計画より比較的安価に購入できる機会があったので、1万円弱の残額があったが、次年度有効活用する。
|