船舶運航に用いられる海事英語は「確実な伝達」「分かりやすさ」が極めて重要となる。それを阻害する要因の一つにスピードがある。標準海事通信用語の使用においては「ゆっくりとはっきりと」発音することが推奨されているが、その効用はどの程度あるのだろうか? 本研究では「ゆっくりはっきりとした発音」と「普通のスピードによる発音」の違いが聞き手の理解度に与える影響について、ノイズ下で交信が行われることが多い通信の特性も加味した条件下で実験した。英語母語話者の発話音声を日本語母語話者に聞かせたところ、「ゆっくりはっきりした発音」は、特にノイズ下の環境において、聞き手の理解度に寄与することが明らかとなった。
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