研究課題/領域番号 |
24652103
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小山 悟 九州大学, 留学生センター, 准教授 (50284576)
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キーワード | 日本語教育 / 大学教育 / CBI |
研究概要 |
【平成25年度前期】当初の計画どおり、3期生を対象とした第1次本調査(ステージII)を行った。前年後期(ステージI)では、来日直後ということもあり、より多くの日本語母語話者と接点を持たせることを重視したため、数人のグループ単位で100人にインタビューさせたが、今学期は量よりも質を重視し、1人が2~3人にじっくりと話を聞くという形式の活動に変更した。また、インタビューのテーマも学生たちの関心に応じて自分たちで決めさせた。インタビューの様子は前年同様、スマートフォンのボイスメモ機能もしくは貸与したICレコーダーを使って録音させ、文字化。8月には筆者と同じく「内容を基盤とした教授法(CBI)」の実践を行っている親交のある教員を福岡に招き、互いの実践を報告し合う勉強会を行った。 【平成25年度後期】国際コース4期生を対象に第2次本調査(ステージI)を行った。前年後期の3期生対象の調査で明らかになった問題点(特に「期待したほどには意味交渉が生じていない」という点)について、検証と反省を行い、学生に対する指示の出し方について改善を加えた。また、インタビュー活動を通して考えを深めさせるという点についても、インタビューの実施時期を早め、前年度は1度だけだった発表を中間発表と最終発表の2回に分け、最終発表ではインタビュー後に行った補充調査(ネットでの情報収集、追加インタビュー、現地訪問など)の結果を加えさせるなどの改善を行った。また、毎年恒例となっている小学校訪問を活用し、日本の学校教育をテーマとした実践(「ステージI:観察」に相当)を行った。 【研究発表】平成24年度後期に行った第1次本調査(ステージI)の結果をまとめ、本学留学生センターの紀要に掲載した。また、平成25年度前期に行った第1次本調査(ステージII)の結果について研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書で述べた調査は全て期間内に終了し、データの入力作業も当初の計画通り全て終了している。また、1年目後期と2年目前期に行った調査の結果についても発表できている。
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今後の研究の推進方策 |
国際コース4期生を対象とした第二次調査(ステージII)を実施する。3期生を対象に昨年の同時期に行った調査では、学生たちが決めたテーマが難しすぎ、深く掘り下げて話を聞くことができなかった。そこで、今学期は「賛否両論」をテーマに、あまり専門的でなく、比較的平易な言葉でインタビューできるテーマをこちらで複数用意することにした。また、そのテーマについて取り上げた新聞記事を学習者の共通言語である英語で最初に読ませ、グループで議論し、自信の考えを整理した上で、インタビューさせる計画である。 ただ1つ懸念していることは、昨年2月に行われた日本語教育部門の部門会議で本人への事前告知を一切しないまま、国際コースのコーディネーション業務から外すという妨害を受けたことである。幸い、後任の講師の計らいでデータの収集はできることになったが、授業の担当は拒否されたため、学生の反応を見ながら適切な処置を行うことができない状況にあるが、これまで2年間続けてきた研究を完結させるべく、最善を尽くしたい。 昨年度の実績報告書でも述べたように、「内容を基盤とした新たな教授法(CBI)」は短期留学で日本に来た留学生や諸外国で日本語・日本文化を専攻している学生たちの教育にも有効であると考えられる。よって、今年度は本研究の課題である「国際コースの日本語教育プログラム」に対する提言をまとめるだけでなく、平成27年度以降の研究の発展・拡充を視野に置いた新たな取り組み(短期留学生対象の実践・海外の日本語教育プログラムでの実践)にも着手したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に(助成金の残額状況に合わせて購入を計画していた)洋書を発注したが、年度内に納品が間に合わず、翌年度分として処理することとなったため。 発注した洋書は既に納品されており、今年度分として処理されている。わずかに残った前年度分の未使用額については、今年度分として当初の計画の範囲内で使用する予定である。
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