研究課題/領域番号 |
24652111
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 彰則 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70232428)
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研究分担者 |
廣井 富 大阪工業大学, 工学部, 講師 (80405927)
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キーワード | 外国語教育システム / 音声対話システム / 音声認識 / マルチモーダル対話 / 拡張現実感 / ロボティクス / 指さし |
研究概要 |
今年度は,ARロボットを用いた英会話システムの実現を主に行った.実ロボットとほぼ同じ形状のロボットをCGによって作成し,AR-Toolkitを用いて表示した上で,そのロボットと仮想的に英会話を行うシステムをまず作成した.次に,英会話で重要となる会話の「間」,すなわち交代潜時の制御を行った.これを実現することで,より人間同士の会話に近いタイミングでARロボットとの会話が可能になる.実現手段としては,ARロボットの発話が終了してから人間がそれに答えるまでの間に,ロボットが「待ち」の映像表現を行う(タイムプレッシャー)方法を開発した.今回試したのは,ロボットの色がしたから赤に変わっていくという方法である.実験の結果,タイムプレッシャー表現を導入した方が交代潜時が短くなり,より人間同士の会話に近づくという結果が得られた. また,実空間を人間とロボットで共有しながら対話をすることが本研究のもう一つの目標であるため,ロボットと人間が「指さし」によって物体の位置を共有する方法について検討を行った.指さし認識の研究は数多いが,ロボットの指さしを人間がどれだけ理解するかを調べた研究はない.そこで本研究では,人間の指さしをKinectによって認識するだけでなく,ロボットの指さしを人間がどの程度認識するのかについての調査を行った.その結果,ロボットから見た左右方向の精度は高いが,前後方向の精度は低く,指さしによって距離を正確に指示することは難しいという知見が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度当初に立てた計画に従い,ARロボットの作成とそれを用いた英会話システムの開発を行った.さらに,指さしを使った人間機械間コミュニケーションの基礎実験を行っており,当初の計画が順調に遂行されている.最終年度に向けた実ロボットの作成はやや遅れているが,26年度中には確実な遂行が見込まれる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,これまで作成した実ロボットを改良した上で,ARロボットおよび音声対話システムを組み合わせ,総合的な音声対話による英会話システムを作成する.英会話を行う環境の考慮を行いつつ,最終的な実験を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は,旅費の他にARモデル作成,実験遂行および実ロボット改良経費が主であったが、予定よりも実ロボット改良にかかる物品費が少なかったために次年度使用額が生じた. 次年度使用額は,実ロボット改良および実験を遂行するための経費として,平成26年度請求額とあわせて,平成26年度の研究遂行に使用する予定である.
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