研究課題/領域番号 |
24652114
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大井 恭子 千葉大学, 教育学部, 教授 (70176816)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ライティング / キュー・カード |
研究概要 |
本研究は第二言語ライティングにおいて、「ライターズ・ブロック」と呼ばれる「書く作業が止まってしまうような事態」において、書き手の思考を促進してくれるような「問い」を作成し、それにより書き手に「自問自答」を促し、書く目的に合致したより深い思考をいざなうという日本版「英語ライティング手続き促進法」の開発を目指すものである。英語を母語話者とした作文において効果があったことが示されているこの方法を日本でも試し、日本人の第二言語ライティング用に「思考促進のための問い集」を作成し、それを現実に中学生、高校生、大学生を対象とした実証研究で確かめ、完成したものを一般に供することを目的とする。 その課題遂行のため、本年度は大学生30人に作文データ及びアンケート調査を行なった。それに基づき、アイディアを産出させるためにgraphic organizer を使用した実証授業を行なった。大学生の調査からは、graphic organizer 使用の効果が一部であるが確かめられた。 中学生に関しては、作文を支援するためのワークシートの開発などを行なった。本年度の研究成果は『発信力を着けるライティング いまここから Here and Now』という成果報告書としてまとめ、発刊した。本年度採取した中学生の作文データ及びアンケート調査のデータ数は1000人分を上回った。分析は来年度にし、そこから見いだせた知見により、実践授業および効果的教材を開発してゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主な研究対象としていた大学生および中学生のライティングのデータを入手した。大学生に関しては分析を行い、ライターズブロック、すなわち「書きなずみ」の原因の特定がある程度解明できた。そこで特定した「書く上でのつまずき」原因とされるものに対処すべく、いくつかの対策が考えたうえで、実証授業を行なった。例えば、アイディアを生み出すための、graphic organizer を導入し、さらにウトライン化前に行う「ピラミッドパッターン」の導入などである。 中学校のライティングに関しては、広く研究協力者の中学校の先生からこれまでに作られた教材を集め、それらを精査すると共に理論編をも加えた『発信力をつけるライティング いまここから Here and Now』を発行し、研究協力者の先生方に配布した。これで研究協力の者の先生方には春休みに準備していただき、4月からの授業に備えていただいた。一方、私の方では、入手した中学校ライティングデータ(1000を超える)をこれから鋭意分析し、中学生がライティングのどこでつまずいているのかを解明し、それらに対する対策を講じた実践授業を展開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に得られた中学生のライティングデータ及び英語学習に関する意識調査(データ数1000を超える)を精査し、今の中学生が「ライティング」でどこでつまずいているのかを特定し、その諸原因につき考察し、学会で発表する。 またこのデータ分析を細やかに行なった上で、中学1年、2年、3年生それぞれにふさわしいライティング指導の方法を考え、それを研究協力者の先生方を通じて実践授業をしてもらう。その授業の効果の検証を行う。一方、ライティングデータや意識調査の結果を精緻した上で、研究の目的である「問い集(キュウ・カード)」策定に向けて前進を図る。実践授業の結果、及び「問い集(キュウ・カード)」の集大成したものを冊子として刊行し、多くの先生方の参考に供したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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