本研究は学習者の口頭産出と記述産出との間にある言語運用能力のギャップを検証することにより、最終的には口頭産出に有効な学習者ストラテジーを探ることを目的とした。まず運用能力のギャップを測定するためのリサーチ・デザインを提案し、データ分析には新しい指標「カバー率」を取り入れた。産出プロセスに関わる認知的負荷レベルの異なる3種類の産出タスクについて検証した結果、学習者のワーキングメモリ容量(WMC)と負荷レベルの高いタスクの産出ギャップには弱い負の相関がある傾向が示唆された。一方WMCと英語習熟度には正の相関が認められた。口頭産出に有効な学習者ストラテジーについて提言するには更なる検証が必要である。
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