言語とその意味内容は独立したものではなく、コインの裏表のような存在である。内容と言語を統合的に提示する指導方法は、第二言語習得理論に照らし合わせてもその成果が期待できる。内容理解を重視した英語授業を行うことによって学習者の英語能力の向上がもたらされると考えた。本研究が着目したもうひとつの点は協同学習である。二人または小グループで学習活動に従事することによって、現在の知識水準よりもやや高いレベルにある概念の理解がもたらされることは先行研究によって明らかにされている。本研究は協同学習を基盤とした内容重視の教授法が、受講生の英語力と動機づけに与える影響を明らかにすることを試みた。応募者が所属する大学の学部学生を調査参加者として3年間にわたってその効果を検証するための調査研究を行った。 本研究は、協同学習を取り入れた内容重視の授業は英語力の高い学習者だけでなく、英語学習に対して強い苦手意識を持っている学生に対して有効な指導法であることを実証した。TOEICのスコアが300点レベルの学生に対して調査を実施した結果、彼等の英語力の伸長がもたらされることが示唆された。さらに英語学習に対する動機づけの向上がもたらされることが確認できた。 英語力の高い学習者(TOEICスコア550点以上)については、アウトプットの質の向上がもたらされることが示唆された。協同学習を取り入れた内容重視の授業にライティング活動を取り入れて調査を行った結果、学習者の書くエッセイの質の向上がもたらされることが確認できた。 本研究が明らかにした知見は、協同学習を基盤とした内容重視の教授法が高等教育機関において有効な教授形態であることを示唆してる。今後は学生の専門に関連した内容を英語で教えることの効果を検証する必要がある。
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