研究課題/領域番号 |
24652129
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
三浦 寛子 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (60347755)
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研究分担者 |
塚越 久美子 北海道科学大学, 高等教育支援センター, 准教授 (00405656)
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キーワード | 英語教育と国語教育 |
研究概要 |
日本語力と英語力の関係性を見出すために、日本語と英語で自己紹介文を書かせてみた。小学生に書かせたいところではあったが、文字の導入がないため断念せざるを得なかった。そのため、研究対象は筆者が勤務する大学の学生とした。研究方法は、必修科目である「文章表現法I」と「英語I」を受講している大学1年生(95名)である。研究に先立ち、2つの仮説をたてた。1つめは量的調査として、「母語でまとまった量を書くことのできる学生は、英語でも書く量が多い。また、母語で書けない学生は、英語でも書けない」というものである。2つ目は質的調査として、「母語で文章構成能力に問題を抱えている学生は、英語でも文の流れ等に問題がある」というものである。英語は、テキストに掲載されている自己紹介文を自分に合った内容になるように単語の入れ替えをし、さらに10文以上の英文を作成して完成させるというものであった。日本語はツイッターを意識して、150文字で自己紹介文を書かせた。これらを比較検討した。 その結果、以下の事がわかった。仮説1に関しては、母語で一定量書ける学生は、英語でも書くことができる、とは言えない。しかし、母語で書くことを苦手とする学生は、英語でも書くことに抵抗を感じる傾向にある。仮説2に関しては、日本語で書いた自己紹介文で、一文が長いという問題傾向が見られた学生の英語での自己紹介文は、知識不足のために書く内容が限られ、一文がかなり短かった。質的調査については、明らかにできるほどの結果は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小学校での英語教育に入るためには、いくつもの壁があり、なかなか実現しなかった。そのため、まずは英語学習者である大学生を対象として、国語力と英語力の関連性を見出す事とした。量的な側面では、英語の得手不得手があるので、日本語で文章が書けるからと言って、英語でも書けるとは言えない。しかし、英語で一定量の文章を書く事ができる学生は、母語である日本語でも書けるという事は言えそうである。質的調査については、日本語の自己紹介文の指定字数が少なかった事から、有意義な比較ができなかった。 平成25年度の研究では、複数教員で担当している教科で自己紹介文を書かせたため、統一した指示を出したつもりでいたが、個々の教員の判断で指示内容に差が出てしまった。そのため、次年度は英語の授業の中で、日本語と英語での自己紹介文を書かせる事にし、今回の問題点を解消する事にした。また書かせる内容については、様々な方の助言をいただき、立教大学の教授である松本茂先生からはnegotiationを取り入れたものを提案していただいた。そして、前期に自己紹介文を書かせた後、後期にはnegotiationを取り入れるものとして、京都・奈良に次いで2番手となっている北海道にアジアからのツアー客を誘致するためのPR分を書かせた。しかし、他のクラスと進度を合わせなければならない授業のため、書かせる時間を確保する事ができず、課題は授業外で取り組ませた。その結果、翻訳サイトやホームページからの盗作が相次ぎ、データとして全く使えなかった。テーマの再検討も含め、実施方法を見直す必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、英語の授業内で日本語と英語での自己紹介文を書かせることで、条件の統一を確保する事にした。また平成25年度の研究では、英語で一定量書ける学生数が多いとは言えなかったため、仮説を立証できるデータ数が少なかったことが反省としてあげられる。次年度は、研究対象を限定し、ある程度の英語力を有する学生のデータを集める必要がある。 また、質的調査を進めるためには、もっと長文で比較する必要があると思われる。しかし、母語である日本語と同じテーマについて、英語で書くことのできる量には限界があることが予測される。テーマの選定は慎重に検討すべきである。 以上の事を考慮し、研究を深化させたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ管理用のパソコンやハードディスクを購入しなかったため、差額が生じた。 これまでデータ管理は、コピーに頼っていたが、収集データを取り込むスキャナやハードディスクの購入が必要である。また、研究成果を発表したり、情報収集をするための旅費にあてる。
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