研究課題/領域番号 |
24652132
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
窪田 三喜夫 成城大学, 文芸学部, 教授 (60259182)
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研究分担者 |
木島 伸彦 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (10317290)
水澤 祐美子 慶應義塾大学, 理工学部, 非常勤講師 (10598345)
篠塚 勝正 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (40528775)
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キーワード | 英語学習者 / パーソナリティ / Cloninger test / 脳神経科学 / TOEIC / TCI-R / motivation / 学習ストラテジー |
研究概要 |
本年度研究では、2011-12年度の265名の大学生(2011年の参加者も含む)に心理学・神経精神学で用いられる気質・性格を測定する質問用紙法TCIを詳細に統計処理を行った。TOEIC BridgeとTCI-Rとの性格因子分析において、自己超越性が高いものは、TOEIC得点が低いと判明した。自己超越性が高い者は、一般に情報処理能力が低い傾向があるので、今回、このような統計結果が得られたものと考えられる。また、大学1・2年生の初級英語学習者163名を参加者にし、TOEIC Bridgeスコアと、A. 学習方略とB. Motivationの関係を調べた。A.学習方略に関し、Oxford (1990)の6因子の質問用紙法とTOEIC Bridgeスコアとの相関関係を重回帰分析で調べた。 B. Motivationに関し、 Gardener & Lambert (1972) 1.国際性志向 2.キャリア志向 3.コミュニケーション 4. 必修科目 5.利益享受志向 6.期待協調志向 7.文化理解の質問用紙法とTOEIC Bridge 得点との相関関係を重回帰分析で調べた。その結果、A.学習ストラテジーに関しては、reading力が高い者は、managing your emotions の因子(自分の感情や気分を上手くコントロールできる、自分が嫌な時でもこつこつと頑張る)との相関関係が出た。これは聞き流しの出来Listening とは異なり、readingは、自発的に読解をする必要性がある点が示唆される。B.Motivationに関しては、3のコミュニケーションと6の期待協調志向以外は、正の相関が出た。必修科目に関しては、負の相関が出た。よって初級者でも、1.国際性志向、2.キャリア志向、3.利益享受志向、7.文化理解に対してmotivationがあることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先ず、2012年度で、TOEIC Bridge のスコアとCTI-Rの関係で、reading 力があるものは、自己超越性の性格が高いということが明らかになった。また、IQと関連があるBaroco問題はTOEIC Bridgeとの相関があったが、Baroco自体は、日本語で書かれた問題であり、L1(日本語)とL2(英語)と言語体系に関わりなく、言語処理の高さに相関があった点が明確になった。 英語力を向上させるためには、日本語力も大切であると換言できよう。 また、2013年度は、初級英語学習者のTOEIC Bridge のreading スコアと学習ストラテジーのmanaging your emotionsの因子との関係があることが、統計的にわかった。本年度の参加者163名は、初級英語学習者であったので、今後の英語のreading力を向上させるためには、こつこつと諦めず、読むことが大切であると、教育現場での指導に活かせると言える。この結果は、外国語のreading能力向上を望む初級学習者に薦めることが可能であろう。 Motivationに関して、初級英語学者であっても、1. 国際性志向、2. キャリア志向、3. 利益享受志向、7. 文化理解に関してはmotivationがあることが分かる。したがって、初級英語学習者でも、それらを考慮に入れた教材と指導方法が必要であると言える。 2013年度においては、2012年度に判明しなかった新しい知見を得ることが出来、研究もおおむね順調に進んでいると言えよう。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度の最終年度においては、教育心理学で用いられるATI(Aptitude Treatment Interaction)とTCI-Rを組み合わせた実験を行い、どのような気質・性格のタイプの学習者にとって、どのような外国語指導法が適するのか、という研究をする。 また、学習者レベル別に、脳機能イメージング機器の脳波・近赤外線分光法で、短期記憶課題、聴覚テスト、発話課題、数字課題を与え、脳内活動を計測する。最終的に、心理学的な気質・性格、Motivation、学習ストラテジーのさまざまな心的因子と、脳機能イメージングを合体させた、学際的で新奇性に富んだ実験を遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度に、脳機能イメージング機器の脳波・近赤外線分光法を使用した実験を多数行うため。 脳機能イメージング機器の脳波・近赤外線分光法を使用して、実験データを収集する。その際、測定ノイズを軽減させ、被験者の負担を減らし、計測時間を短くする実験計画を構築するために、ドライ電極・水電極・脳波機器・近赤外線分光機器を購入する。
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