実験に参加する英語学習者の習熟度を Versant English Test と Oxford Quick Placement Test で測定した。前者はリスニング・スピーキングの統合的課題の中で、リアルタイムの音声言語処理でどの程度の英語を使えるか、語彙・構文・発音(の正確さ)・(応答の)流暢さの4項目で測定する。後者は読解に基づく多肢選択の形式で語彙・語法・文法などの知識について測る試験である リスニングにおける形態統語情報アクセスの自動化に関連して、平成26年度には (1) 比較的簡単な語彙からなる自然なスピードで読み上げられた英文の音声データの一部(動詞・名詞に相当する部分)をノイズでマスキングして、同一文中の統語的冗長性から選択肢の中で適切な語形(動詞については原形・三単現・過去形・過去分詞形、名詞については単数形・複数形)を選択する練習と (2) 比較的身近な話題について平易な英文でまとめたニュース記事を自然なスピードで読み上げた音声ファイルを元に、元のニュース記事の内容語(名詞・動詞・形容詞・副詞など)をすべて辞書形(原形)で与え、必要に応じて前置詞・冠詞などの機能語を補いつつ、名詞・動詞を適切な語形に整えながらニュース記事全体を復元するディクテーション課題をそれぞれ複数回にわたって実施し、アンケートを行った。 平成25年度に引き続き、平成26年度にも比較的簡単な語彙からなる平叙文・疑問文を提示し、そのまま再生する課題と平叙文を疑問文に転換して産出する課題を実施し、日本人英語学習者が疑問文の産出において形態統語情報をリアルタイムで処理することに困難があることを改めて確認した。 このような研究の経過と成果について国内の研究集会で報告するとともに、心理言語学的研究方法についての理解を深めるため、関連する国際会議に参加した。
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