江戸時代(1603~1868年)の日本は、「鎖国」という語で一般に想起されるような閉鎖した経済体系ではなく、領土の南北にある「異国」(琉球王国)・「異域」(蝦夷地)を中国および日本国内市場向け商品の生産地として組み込んだ「帝国」的な政治的・経済的実体であった。本研究は、主として繊維製品(生糸、絹織物、綿織物)、海産物、貨幣材料(日本銀、アメリカ銀)などの輸出入に着目し、徳川日本の経済が中国を中心とする東アジア経済およびグローバルな物流とどう結びついていたか、またそれにより日本の物質文化が長期的にどう変容したかを分析した。
|