本研究の目的は,世界各地に残存する幕末・明治期に撮影された日本古写真を対象とする「グローバル・メタデータ・データベース」の構築である。 そのために,本研究課題では,複数機関が所蔵する日本古写真の画像及びメタデータを収録するための総合目録機能,及び個々の古写真を関連する古写真群の中に文脈づけて表示する機能の標準モデルを開発した。具体的には,国内外の日本古写真を対象とする「グローバル・メタデータ・データベース」の構築に必要となる,①古写真及び所蔵機関の標準メタデータ要素セットの設計,②各機関からインターネットを介して古写真画像及びメタデータを収集するツールの開発を行った。さらに,③データベースの開発実験用サーバを用意し,④古写真を文脈づけるためのメタデータ要素(画像,番号,標題,アルバム,写真館)を設定して,⑤各要素により古写真を文脈づけて表示するための検索機能を開発した。 これらを実施するとともに,在外日本古写真コレクションを調査し,各所蔵機関と「グローバル・メタデータ・データベース」の共同構築について協議した。具体的には,⑥世界最大規模の日本古写真コレクションを有するフランス国立ギメ東洋美術館と長崎大学附属図書館の間で,日本古写真分野における学術交流協定を締結し,「グローバル・メタデータ・データベース」構築に向けて中心となる道筋を確立した。また,⑦オランダ・ライデン大学附属図書館が有する在オランダ日本古写真コレクションのデータを調査するとともに,日本古写真分野における協力について協議し,協力関係確立のための基本的合意に達した。さらに,⑧ロシア国立エルミタージュ美術館が有する日本古写真の情報を入手し,今後における協力の進め方について協議した。 以上により「幕末・明治期日本古写真グローバル・メタデータ・データベース」の実現に必要な技術及び環境が整った
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