本研究は、シャムから清朝に派遣された最後の朝貢使節が 帰国した1854年以降、20世紀初頭に至る約半世紀の間に、無朝貢・無条約という条件下において、 タイ(シャム)=中国経済関係がいかに運営されていたかを、 タイ側の史料を軸にして、関連する中国側および欧米側の史 料を照らし合わせつつ検討した。検討を通して、西洋との条約関係を軸に西洋側の史料を以って検討されてきた既存のタイ経済史研究に対する中国という視角からの見直しや、従来中国側の史料を以って検討されてきた朝貢貿易研究に対する タイ史料からの再考を試みた。
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