研究課題
本年度はまず，空間移動の可視化のために，系統図を自動作成するアルゴリズムを開発した．ここでは系統図作成を空間的最適化問題として定式化し，その解を発見的手法によって導出している．この問題は整数計画法の範疇に属し，発見的解法に伴う膨大な計算量を避けるため，初期値の設定方法に特に留意している．導出結果は，地図およびグラフとして可視化している．前者としては，空間移動を地図上に重ね合わせる通常の表現，リンクごとに移動頻度を集計した頻度分布に加え，前述した系統図として表現する方法を検討した．系統図については，顕著なパターンを図中に明示し，研究者のパターン抽出を支援するような方法を考案しており，一部は手作業ながらも，過程の半分以上を自動的に行えるよう，プログラムを開発している．このプログラムでは，ネットワークデータをテキスト形式で保存したファイルを読み込み，系統配置図の導出プログラムで得た結果と組み合わせることで，系統図を半自動的に出力することができる．結果はArcGISの標準ファイル形式であるshape形式で出力することが可能であり，そのままArcGISで読み込むことで，元のネットワークデータと重ね合わせることもできる．グラフとしての表現には，ハッセ図の部分集合を用いた．グラフは，空間移動の数に対して乗数的に拡大かつ複雑化することから，系統図と同様に，縮尺変更や一部抽出などを行うためのアルゴリズムについて，考察を行った．時間軸を加えた3次元パスの利用についても検討したが，こちらについては，実装がやや困難であることから，既存手法の拡張を行わないこととした．
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Computers, Environment and Urban Systems
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