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2013 年度 実施状況報告書

ナットウの起源と伝播の解明に向けた基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24652160
研究機関名古屋大学

研究代表者

横山 智  名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30363518)

キーワードナットウ / アルナーチャル / モンパ / ミャンマー / チン州 / カチン州 / ジンポー / ラワン
研究概要

2013年5月にインドのアルナーチャル・プラデーシュ、そして2014年3月にミャンマーのチン州とカチン州で調査を実施した。アルナーチャルとチン州に関してはこれまでナットウに関する調査報告が無い地域である。
アルナーチャル・プラデーシュでは、西側のディラン地区とタワン地区のモンパの居住地区において、ナットウ(リビ・ジッペン、グレップ・チュル)を製造している村を訪問して詳細な調査を実施した。アルナーチャル・プラデーシュのナットウの特徴は、ダイズを発酵させた後に必ず潰すこと、長期(約1年間)保存すること、また調味料として利用することである。発酵させたままの粒の状態で食することは無い。なお、発酵させる前に塩を入れる味噌様のナットウも多く存在した。また、発酵の際にツツジ科、ウコギ科、クマツヅラ科などの植物の葉を入れるが、これらはこれまで調査をした東南アジア地域とはかなり異なっていることが判明した。
続いて、2014年3月にミャンマーのチン州ミンダッ地区およびカチン州プータオ地区のナットウに関して調査を実施した。ここでは、糸引きナットウが生産されており、また乾燥させ長期に保存できるナットウも見られた。使われている植物はクワ科イチジク属が多いが、マグェー管区のタウンダーの村ではナス科ナス属の葉を用いており、タイ北部との共通性が見られたことは非常に興味深い。
カチン州プータオ地区も同じく糸引きナットウが生産されており、ほとんどの村ではクワ科イチジク属が使用されていた。しかし、商業的な生産を行っていた世帯では、植物は利用していなかった。カチンのプータオ地区には複数の民族が居住するが、ナットウ生産が盛んなのはジンポーとラワンの2民族であることが分かった。シャン(カンティー・シャン)も多く居住するが、あまり盛んにナットウは生産していないのが、シャン州のシャンとの大きな違いであり興味深い。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度に調査できなかったミャンマー調査を実施し、さらにインドのアルナーチャルも調査できたことで、東南アジアから南アジアの照葉樹林帯をかなり面的にカバーすることができた。各調査地では、ナットウの製造方法を詳細に記録しているため、地域間比較も可能であり、期待される成果が得られている。よって、順調に研究が進んでいると評価できる。

今後の研究の推進方策

今年度は、インドのアルナーチャルとミャンマーのチン州およびカチン州の調査を実施したが、H26年度は、ナットウが生産されている最西端とされている東ネパールの調査を実施する計画である。また、ミャンマーのシャン州に関しても、これまでは一部の地域でしか調査を実施していないので、調査を実施することを計画中である。そしてH26年度は最終年度となるため、これまでの調査地のデータをまとめてナットウの起源と伝播を考察する。なお、ナットウのデータベース構築も併せて行っていく。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] A review of studies on swidden agriculture in Japan: cropping system and disappearing process2014

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Yokoyama, Isao Hirota, Sota Tanaka, Yukino Ochiai, Eiji Nawata, Yasuyuki Kono
    • 雑誌名

      Tropics

      巻: 第22巻第4号 ページ: 131-155

    • DOI

      10.3759/tropics.22.131

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『講座 生存基盤論 』 地域研究における自然-人間相互関係の解明に関する一考察(書評論文)2013

    • 著者名/発表者名
      横山 智
    • 雑誌名

      東南アジア研究

      巻: 第51巻第1号 ページ: 168-172

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A review of the developments in Nature and Society Studies in Japan from the 1980s onward2013

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Yokoyama
    • 雑誌名

      Geographical Review of Japan Series B

      巻: 第86巻第1号 ページ: 62-74

    • DOI

      10.4157/geogrevjapanb.86.62

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アジアの伝統酒研究の展開─日本における研究を中心に─2013

    • 著者名/発表者名
      臼井麻未・横山 智
    • 雑誌名

      地理空間

      巻: 第6巻第1号 ページ: 1-18

    • 査読あり
  • [学会発表] ポンサリー県の中国国境地域における契約栽培の導入背景

    • 著者名/発表者名
      横山 智
    • 学会等名
      第3回日本ラオス研究会研究大会
    • 発表場所
      東京都、東京外国語大学
    • 招待講演
  • [学会発表] ラオス北部の中国国境地域における契約栽培

    • 著者名/発表者名
      横山 智・インサイ パンサイ
    • 学会等名
      2014年日本地理学会春季学術大会
    • 発表場所
      東京都、国士舘大学
  • [学会発表] Contract Farming in the Chinese Border Region of Northern Laos

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Yokoyama
    • 学会等名
      Seminar on Northeast Thailand in Transition: Landscape, Livelihood and Life
    • 発表場所
      タイ王国、コンケーン大学
  • [学会発表] Unexpected situation in opland people's livelihood: a case study in northern Laos

    • 著者名/発表者名
      Phanxay Inxay and Satoshi Yokoyama
    • 学会等名
      Regional Conference of the International Geographical Union (IGU), 2013 Kyoto Conference
    • 発表場所
      京都府、国立京都国際会館
  • [学会発表] Agrarian livelihood change in Chinese border areas of northern Laos

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Yokoyama and Phanxay Inxay
    • 学会等名
      The 21th Annual Colloquium of the International Geographical Union Commission on the Sustainability of Rural Systems
    • 発表場所
      愛知県、名古屋大学
  • [図書] 資源と生業の地理学2013

    • 著者名/発表者名
      横山智 編
    • 総ページ数
      350
    • 出版者
      海青社
  • [図書] 「生業と資源を捉える視点」(横山智 編) 『資源と生業の地理学』2013

    • 著者名/発表者名
      横山智
    • 総ページ数
      13-33
    • 出版者
      海青社
  • [図書] 「線香粘結剤タブ粉のリソース・チェーン:日本と東南アジアの森林利用の相関」(横山智 編) 『資源と生業の地理学』2013

    • 著者名/発表者名
      横山智
    • 総ページ数
      85-109
    • 出版者
      海青社

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公開日: 2015-05-28  

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