研究課題/領域番号 |
24652161
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中川 聡史 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10314460)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際人口移動 |
研究概要 |
平成24年度は当初の計画通り、ラオスからタイへの国際人口移動に関して、送り出し地域であるラオス中部のA村の調査、受け入れ地域であるタイのバンコクでA村出身者が集住している地域での調査の2種の調査を神戸大学名誉教授高橋眞一先生、東北大学理学研究科大学院生の丹羽孝仁さんと共同でおこなった。当初は中川が中心となり、丹羽さんにサポートしてもらう計画であったが、中川が所属部局の入試責任者となり、海外出張が困難となったため、昨年度までA村を共同で研究していた高橋名誉教授にもご参加いただいた。 A村では昨年度の続きの世帯インタビューをおこない、村人にとってのタイへの出稼ぎの意義を明らかにし、また村に近いラオスの工業団地に日系のデジカメ工場(ニコン)が建設中であり、バンコクへ出稼ぎに向かう村人の一部はこのデジカメ工場で働くことを検討しているとの情報を得た。タイの賃金上昇や労働者不足によって、ラオスへの日本企業の進出が本格化し、それにともなってこれまでバンコクへ向かっていたA村の若者の一部がニコンのデジカメ工場(A村から40キロ程度、おそらく通勤はできないが、バンコクへの出稼ぎと比べると心理的な距離は大きく異なる)で働くことになる。 一方、A村からの出稼ぎ者が集住しているバンコクの工場地帯では、大半の出稼ぎ者が正規の労働許可を持っていることを確認し、また帰村についての意向を持っていない者が少なからずいることも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A村からバンコクへの出稼ぎについては平成24年度で調査を終了し、25年度は成果をまとめて、学会で報告し、論文執筆の準備をする計画であるが、それに向けて、十分な資料収集ができたと考えている。 ただし、上述のニコンの工場が平成25年10月に操業を開始するので、その工場で働くA村出身者への聞き取りをおこなう必要があると考えている。したがって、平成25年度にもう一度ラオス調査をおこなわなければならない。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では平成25年度はタイからドイツへの国際結婚移動の現地調査、平成26年度は日本からタイへの国際結婚移動の現地調査をおこなうこととしていた。上述のように、25年度にもラオスに一度行く必要ができたこと、24年度は中川が十分に海外調査に参加できなかったため、25年度はドイツ等への花嫁の送出市域であるタイの東北部での調査時にラオスにも立ち寄り、デジカメ工場での聞き取りをおこないたいと考えている。また、ドイツにおけるタイ人花嫁の調査も25年度に実行したいと考えている。 各年度に計画通りの現地調査をおこなう一方、研究成果の学会報告はそれぞれ次年度、論文執筆は次年度ないし、次々年度におこなう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は最後に計算ミスで1850円繰り越すことになった。25年度はそのようなことがないように計画的に予算執行をおこなう。
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