本研究の目的は、特許のデータを利用して、研究開発とイノベーションに関する地理的側面の分析可能性を探ることにある。研究者向けに整備されたIIP特許データベース(知的財産研究所)を利用して、出願者の所属組織および組織別出願者数の時系列分析を行った。その結果、企業規模が大きくなるほど所属組織の所在地は本社知財部門等に一括管理され、特許の出願地と実際の研究開発の場所との乖離が問題となることが示唆された。他方、大学や研究機関による研究開発については、特に2000年代以降において特許データからその動向を読み解くことが可能であり、産学連携などの地理的特徴についても十分に実証できることが明らかとなった。
|