研究課題/領域番号 |
24652168
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
杉村 和彦 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (40211982)
|
研究分担者 |
坂井 真紀子 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (70624112)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 参加型開発 / 住民のイニシアティブ / 内発性 / 途上国 / 村誌作り / 応用人類学 / 地元学 |
研究概要 |
この年は、ズグニ村で23年からすでに組織化されているインフォーマントとしての長老グループと村落行政官を主体とした村誌編集グループの協力を得て、すでに書かれたゴゴ人による、ゴゴの歴史・文化に関する記述の中で、民族の起源、村落の創生と政治的な正統性に関するスワヒリ語の記述の部分に関して集中的な読み直しの作業を行った。ゴゴの民族の起源に関しては、各地からの流入者によって段階的に入植したプロセスが想定されているが、複数の長老からの聞き取りでは異なる説明がなされることが多く、ゴゴ人のNyampala, Mathiasによって記述された起源論に対しても異論も多く、多くの論点を記録することができた。 また自然資源の伝統的な利用法についても研究のカウンターパートであるNGO地球緑化の会のメンバーと協力して、集中的なこの地域の老人からのインタビューを行った。また村の人が参加型の村誌作りとして行うことができるよう、村の若者で抗したことがらに関心のあるメンバーを組織し、村の若者から老人へのインタビューも始め、ラポールがついていることから打ち解けた話が展開し、良質のデータが集まり始めている。 また地域の大学であるドドマ大学の中でスワヒリ語学科や、歴史関連の研究者との連携をとり始めており、住民の作るデータを地域の大学が支援するかたちでの地域史作りが始められており、それが地域社会の内発的発展にどのように連関するのかを、村でのワークショプで村人と議論することもでき、次年度以降の研究方向を関係者の間で確認することができた 。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この年は、ズグニ村で23年からすでに組織化されているインフォーマントとしての長老グループと村落行政官を主体とした村誌編集グループの協力関係をより深めることができた。 かれらの協力を得て、すでに書かれたゴゴ人による、ゴゴの歴史・文化に関する記述の中で、民族の起源、村落の創生と政治的な正統性に関するスワヒリ語の記述の部分に関して集中的な読み直しの作業を行うことができたのは今後の研究の進展に取って極めて重要である。 また村の人が参加型の村誌作りとして行うことができるよう、村の若者で抗したことがらに関心のあるメンバーを組織し、村の若者から老人へのインタビューも始め、ラポールがついていることから打ち解けた話が展開し、良質のデータが集まり始めており、今後の研究のやり方を格にできたことは重要である。 また地域の大学であるドドマ大学の中でスワヒリ語学科や、歴史関連の研究者との連携をとり始めており、住民の作るデータを地域の大学が支援するかたちでの地域史作りが始められており、それが地域社会の内発的発展にどのように連関するのかを、村でのワークショプで村人と議論することもでき、次年度以降の研究方向を関係者の間で確認することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
この年は平成23年度から始まった村誌づくりの内容、そのプロセス、成果を村の歴史、文化伝統、経済活動、共同組織、福祉という項目ごとに複数回に渡って連関するアクターとワークショップを行い、検討を重ねる。その際、必要に応じては、編集委員会からの依頼で、ズグニ村の村人に限らず、村外、他の民族集団からのゲストスピーカーにも参加を要請する。近隣の国立ドドマ大学のムワムフーペ教授を初めとするスワヒリ語科、歴史学、地理学、社会学の教員にも適宜参加してもらい、その内容の精緻化に努める。そのプロセスにおいては、とくに次の二つの点を主題化して検討する。 一つ目は、村落住民自身がプロジェクトを通して自覚化するものの内容と意味を主題化し、ワークショップを行うこと。その中で文字化され、村誌に記述されていくものの公共性とそのことが村人のアイデンティティを作り、内発性のあり方に与える影響に関して明らかにすること。 二つ目は、地域記述が、住民によって画定される社会過程と記述され選択される「伝統」の意味を主題化しワークショップを行うとともに、記述されていく内容が有するその社会的性格について明らかにすること。
|
次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、予定していた聞き取りのテープ起こしとその整理の作業の大半が次年度に持ち越しになり、このために使う必要のあった資金の大半が残された。次年度はこの整理作業を現地のNGOの協力のもとに急ぎ、その作業のために残された資金の多くを使う予定である。この作業には現地のゴゴ語をスワヒリ語に訳すような作業と共に、逆に現地の長老達とのコミュニケーションのために重要なところはスワヒリ語をゴゴ語に置き換えてその内容をより詳細に検討していく必要もある。こうした作業のためにアシスタトを雇う必要があり、その資金としても24年度に予定田予算を利用する予定である。 また協力してくれている村人に対して中間のまとめの小冊子を作る予定であり、そのための予算としても利用される。 同時に25年度は村誌づくりの内容、そのプロセス、成果を村の歴史、文化伝統、経済活動、共同組織、福祉という項目ごとに複数回に渡って連関するアクターとワークショップを行い、検討を重ねるつもりであり、そのための使用を予定している。、
|