本研究が対象としたタンザニア・ドドマ・ゴゴ社会の一村での現在進行中の村誌作りの中で以下の三つの論点が研究成果として明らかになった。 第一点は、地域社会の中での「伝統」「在来性」の意味の流動化の中でのアイデンティティの喪失状況。第二点としては、村誌における「地域」の意味の捉え直しの必要性である。ここで対象とした農牧民も含めてアフリカ農村地域社会は「流動性」をはらんでおり、属地的な定住的イメージとは異なる視点の重要性であること。第三点は「内発的発展」の中の村誌プロジェクトの意味である。開発におけるこうした<自己内省>の方法は、他地域の様々な事例に対しても、応用可能なものであること。
|