研究課題/領域番号 |
24652175
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京工芸大学 |
研究代表者 |
野口 靖 東京工芸大学, 芸術学部, 准教授 (50287869)
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研究分担者 |
椎野 若菜 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (20431968)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会人類学 / 可視化 / 情報システム / 国際研究者交流 ケニア |
研究概要 |
1. ナイロビの歴史的風景写真の収集: c-locのコンテンツ作成のため、現存しているナイロビ市内の歴史的風景写真の収集を行いました。すでに予備調査としてナイロビ市街部の歴史的風景写真を所有している機関を調査しており、この調査を元にして相当数の写真が保管されているKenya National Archives, McMillan Memorial Library, National Museum of Kenya, Kenya Railways Museum、The Nationにおいて写真を収集しました。 また、公的な性格の写真以外にも、個人が撮影した写真を元にしたパーソナルヒストリーのアーカイブへの掲載も有効であると考えたため、ナイロビ市内の伝統的なショッピングストリートであるビアシャラ・ストリートで調査をおこない、3名の方に協力をいただいて家族写真を収集しました。 2. c-locの改良: 年代が違い、なおかつ地理的な位置も違う地図の同時表示を可能にしました。例えば、ナイロビ市内の情報とオインガの情報は600km以上離れています。従来の仕様だと同じ場所の地図のみ表示可能だったので、この改良によって、地図の解像度を保ったまま距離の離れた地域の情報が複合的に表示可能になりました。さらに、動画のファイル形式にmp4を追加、16:9のアスペクト比対応、インタフェースのテキストサイズ変更機能、CSVインポート機能の改善など、より利用者が使いやすいように、仕様変更を行いました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、ケニアの村落地帯に散在する歴史的遺物のオインガ(石垣の居住跡)やダラ(植民地化以降の伝統的居住形態)の保存を目的とした、写真やインタビュー動画による記録を予定していましたが、調査のためにケニアを訪れた際、大統領選挙に伴う政情不安から1週間程度のホテル待機を余儀なくされました。これにより、村落地帯への訪問が不可能となり、調査の予定に遅れが出ています。 また、村落地帯の歴史情報の可視化という点では、写真や動画、テキストなどの情報が圧倒的に少なく、収集が困難だという実状があります。よって、当初の予定を見直す必要に迫られています。 ナイロビの都市化に関する歴史的写真資料の収集およびその可視化、c-locソフトの改良については順調に進行しています。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の点について重点的に研究をおこなっていきます。 ・村落部の生活/居住形態の変化と都市部のスラム化の関係性の解明: 世界有数のスラムであるナイロビのキベラ地域において、生活/居住形態の変化についてのフィールドワークをおこないます。この調査では定性的なデータとして、居住者に対してインタビューをおこない、パーソナルヒストリーをc-locソフトウェアに掲載する事によって、この地域を取り巻く現状、村落地帯や都市部との関係などを可視化します。また、住居のパノラマ3D画像を撮影する事によって、普段一般の方がなかなか目にする事のない、スラム内の住居の状況を記録します。 ・c-locソフトウェアの改良: 前年度に引き続き、c-locソフトウェアの改良を継続します。平成25年度は、年代が特定できない情報の視覚化を中心に改良をおこないます。本研究の場合、特にケニアの歴史情報は年代がはっきりしないものが多いという事情があります。現時点でのソフトウェアの仕様は、限定された期間(例:2010年)のデータしか入力することができません。そのような、情報の年代に幅がある場合(例:2008年~2010年)でも対応できるよう、改良を行います。
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次年度の研究費の使用計画 |
航空運賃 ケニア(野口・椎野)46万円 滞在費 ケニア(野口・椎野)28万円 写真資料・地図資料の整理、ソフトウェアへのデータ入力、ウェブサイト更新 3万6千円 c-locソフトウェアアップデート作業 20万円
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