研究課題/領域番号 |
24652175
|
研究機関 | 東京工芸大学 |
研究代表者 |
野口 靖 東京工芸大学, 芸術学部, 准教授 (50287869)
|
研究分担者 |
椎野 若菜 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (20431968)
|
キーワード | アーカイブ / データヴィジュアライゼーション / ケニア / 時空間 / 人類学 |
研究概要 |
●1. c-locソフトウェアのアップデートおよび修正 平成25年度は、主に「高解像度の地図を表示可能に仕様変更」することと、「タイムマシンモード」の実装をおこなった。以前の仕様では、最大でも2000 x 2000pixまでの画像が限界で、それ以上になるとコンピュータに負荷がかかり極端に操作性が悪くなっていた。今回、Googleマップんどで使用されている技術を実装し、最大8000x8000ピクセルまでの高解像度地図を表示する事が可能になった。また、タイムマシンモードは、c-locソフトウェアが通常時間軸が下から上に表示されているのに対し、時間軸を奥から手前にしたモードである。この事によって、ユーザは同じ場所の昔の情報を、あたかも地面を掘っていくかのように体験する事ができる。 ●2. ケニアでのフィールドワーク 2014年3月にフィールドワーク予定だったが、2013年9月にナイロビ市内のウエストゲート・ショッピングモールでテロが発生した。63名もの死者を出したこの事件は、自身の行動範囲に近かった事と特に外国人を狙ったものだったという事もあり危険度が非常に高いと考え、昨年度の現地でのフィールドワークを見送った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
c-locソフトウェアのアップデートについては順調におこなわれている。平成25年度の当初は、中心となるアップデートは年代を特定できないデータの可視化だった。しかし、c-locソフトウェア開発の進捗状況を報告するための展示企画が年度末にあり、高解像度地図表示の方が成果報告としての展示としても一般に対して分かりいやすい事情から、こちらを優先させた。高解像度地図をマッピングする事によって地図上の文字も判別可能になり、情報価値がより上がった。さらに、「タイムマシンモード」を実装した。タイムマシンモードは、c-locソフトウェアが通常時間軸が下から上に表示されているのに対し、時間軸を奥から手前にしたモードである。この事によって、ユーザは同じ場所の昔の情報を、あたかも地面を掘っていくかのように体験する事ができる。実験的な機能ではあるがユーザの感想はおおむね好意的なので、引き続き改善を続けていきたい。 ソフトウェア開発が順調だったのに対し、前述の通り2013年9月に起きたテロのために渡航を見送った事情から、現地での歴史的写真収集は保留の状態である。
|
今後の研究の推進方策 |
●1. ナイロビ地域住民の移住過程可視化: 世界有数のスラムであるナイロビのキベラ地域において、 移住の歴史についてのフィールドワークをおこなう。この調査では定性的なデータとして、居住者に対してインタビュ ーをおこない、パーソナルヒストリーをc-locソフトウェアに掲載する事によって、この地域を取り巻く現状、村落地帯や都市部との関係などを可視化する。また、住居のパノラマ3D画像を撮影する事によって、普段一般の方がなかなか目にする事のない、スラム内の住居の状況を映像資料として記録する。 ●2. c-locソフトウェアの改良: 引き続き、c-locソフトウェアの改良をおこなう。平成25年度は高解像度地図の表示機能とタイムマシンモードの実装をおこなったので、平成26年度は、年代が特定できない情報の視覚化をおこなう。本研究の場合、特にケニアの歴史情報は年代がはっきりしないものが多いという事情がある。現時点でのソフトウェアの仕様は、限定された期間(例:2010年)のデータしか入力することができない。そのような、期間に幅がある場合(例:2008年~2010年)でも対応できるよう改良をおこなう。表示方法は、時間地理学の成果を応用する。 また、GPSカメラデータのインポート機能の実装をおこなう。
|
次年度の研究費の使用計画 |
椎野は平成25年度にケニア滞在を予定していたが、9月のテロのために状況を確認するため渡航を控えたため。 平成26年度には野口と椎野がケニアのナイロビに滞在し、研究を集中的におこなう。よって、渡航費及び宿泊費、生活費として使用する。
|