「剣鉾」は、剣先を撓らせ光り輝かせながら巡行するため、その多くは真鍮製である。祭礼では、地域によって用いられ方(差し方)に差異がある。本研究は、東山系と呼ばれる地域を中心に蛍光X線照射装置を用いて金属の配合比を分析し、箱書きや一部の剣に刻印として残っている情報と組み合わせ、時代性や地域性、鉾の差し方等の祭礼形態との関係の一部を明らかにした。また、剣のしなり構造に着目し、実際の剣鋒と同様の剣を試料として作製し、各部位の強度試験を行った結果、職人が伝統的な方法で行う「たたき」と「なまし」の繰り返しによって、真鍮板の厚みと弾性が変化し、鉾差しの要求する剣の「しなり」が表現されることがわかった。
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