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2013 年度 実施状況報告書

コモン・ローとヒンドゥー法の邂逅―ウィリアム・ジョーンズ研究

研究課題

研究課題/領域番号 24653001
研究機関東京大学

研究代表者

葛西 康徳  東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (80114437)

研究分担者 桂 紹隆  龍谷大学, 文学部, 教授 (50097903)
キーワードヒンドウ法 / コモンロー / ウィリアム・ジョーンズ / インド契約法 / 信託法 / ウィリアム・グリグスビー
研究概要

第一に、2012年12月に、東洋大学において、法観念の多様性に関するシンポジウムを開催し、古代ギリシアとヒンドウー法についての、立法者に関する観念の報告を行った。このシンポジウムには、インド、中国、イスラム、日本など、いわゆるアジア・オリエント諸国の歴史的、現代的法問題についての報告が多数含まれており、非常に有意義であった。特に、西洋法を基準として、アジアの法を性格付ける法学者に対して、歴史家、人類学者は、法概念や法観念の多様性を主張し、両者の間を媒介する方法論が必要なことが自覚された。
第二に、そのような問題状況の中で、本研究は非常に重要な貢献をしたと確信している。すなわち、例として、プラトンの「法律」における古代ギリシア人の法観念を問題にし、特に、立法者概念に焦点を合わせて報告した。これは、イスラム法、ユダヤ法に非常に近く、一方インド法との比較も可能である。
第三に、インド法、ヒンドウ法との関係で、非常に重要なのは、ギリシアにおける法(ノモス)観念と後者におけるダルマ観念の類似である。具体的に言えば、両者ともに、もっとも基本的な意味は、慣習や儀礼であり、いわゆる「法律」の意味は、その一部にすぎない。換言すれば、慣習と立法者による法律が重なり合っているところに、両者の共通の特徴があり、この点において、近代西洋法とは大きく異なる。
第四に、2013年12月INDAS国際シンポジウム(In Search of Well-Being)を開催し、代表者、分担者共に参加し、討論に加わった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、英国法制史学会似て、報告を行った。これはギリシア法に関するものであるが、近時の研究状況を踏まえて、近東やアジアの法観念を紹介しており、その中で、インド法についても言及した。
ケンブリッジの共同研究者と8月および2月に面談し、今後の研究計画について相談できた。
2013年12月に共同研究者の在職する龍谷大学で開催されたヒンドウ法に関する国際シンポジウムに参加した。

今後の研究の推進方策

来年度は、最終年度であるので、これまでの研究および国際シンポジウムの成果を生かして、論文集として公刊したい。

次年度の研究費の使用計画

予定していた国際共同研究を2014年度に移したため。
2014年8月にケンブリッジにて国際共同研究を実施する。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 海を渡ったローマ法2014

    • 著者名/発表者名
      葛西康徳
    • 雑誌名

      19世紀研究

      巻: 8 ページ: 5

  • [雑誌論文] 「二等国連合」―ミクスト・リーガル・システムの戦略―2014

    • 著者名/発表者名
      葛西康徳
    • 雑誌名

      19世紀研究

      巻: 8 ページ: 53-54

  • [雑誌論文] 仏教と論理2014

    • 著者名/発表者名
      桂紹隆
    • 雑誌名

      研究紀要

      巻: 27号 ページ: 103-125

  • [雑誌論文] 古代ギリシアにおける法(ノモス)の観念について―とくに立法および立法者の観念に焦点をあわせてー2013

    • 著者名/発表者名
      葛西康徳
    • 雑誌名

      国際哲学研究別冊2「法概念の時間と空間」

      巻: 別冊2 ページ: 51-60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In search of the origin of the notion of aequitas (epieikeia) in Greek and Roman law2013

    • 著者名/発表者名
      Yasunori Kasai
    • 雑誌名

      Hiroshima Law Review

      巻: 37 ページ: 543-564

  • [雑誌論文] 中論頌の構造2013

    • 著者名/発表者名
      桂紹隆
    • 雑誌名

      印度学仏教学研究

      巻: 第61巻-第2号 ページ: (157)-(165)

    • 査読あり
  • [学会発表] 「仏教研究者の見たアンベードカルの仏教(navayana)」

    • 著者名/発表者名
      桂紹隆
    • 学会等名
      2013年度第3回FINDAS研究会
    • 発表場所
      東京外国語大学本郷サテライト,東京都
  • [学会発表] パネル「インド哲学における〈存在〉をめぐる議論の諸相」にコメント

    • 著者名/発表者名
      桂紹隆
    • 学会等名
      日本印度学仏教学会第64回学術大会
    • 発表場所
      島根県民会館,島根県
  • [学会発表] “The Buddhist Perspective of Dharma: Towards a Universal Law”

    • 著者名/発表者名
      Shoryu Katsura
    • 学会等名
      INDAS国際シンポジウム "In Search of Well-being: Genealogies of Religion and Politics in India" Session 1: Redefining Dharma and Well-being
    • 発表場所
      龍谷大学、京都府
  • [学会発表] Philosophical foundations of the notion of aequitas (epikeikeia) in Greek and Roman law

    • 著者名/発表者名
      Yasunori Kasai
    • 学会等名
      Southern African Society of Legal Historians Conference May 2013 ‘Ius est ars boni et aequi’
    • 発表場所
      Kwa Maritane, South Africa
    • 招待講演
  • [学会発表] The notion of ‘uncanny’ in Ancient Greece

    • 著者名/発表者名
      Yasunori Kasai
    • 学会等名
      The 2013 IEEE International Conference on Robotics and Automation (ICRA 2013)
    • 発表場所
      Karlsruhe, Germany
    • 招待講演
  • [学会発表] ‘The authority of law in the Greek forensic oratory - the law as evidence and the lawgiver’

    • 著者名/発表者名
      Yasunori Kasai
    • 学会等名
      21st British Legal History Conference ‘Law and Authority’
    • 発表場所
      Glasgow, UK
  • [図書] Nagarjuna’s Middhle Way2013

    • 著者名/発表者名
      Mark Siderits & Shoryu Katsura
    • 総ページ数
      351
    • 出版者
      Wisdom Publications
  • [図書] 『大乗仏教のアジア』グレゴリー・ショペン「仏教文献学から仏教考古学へ」の和訳2013

    • 著者名/発表者名
      桂紹隆・斎藤明・下田正弘・末木文美士(共編)
    • 総ページ数
      3-43
    • 出版者
      春秋社

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公開日: 2015-05-28  

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