スペインには「統一代表」と呼ばれる労働者代表モデルが存在する。これは,事業場を単位として選挙を実施し,投票によって得られた支持の度合に応じて従業員代表の議席を比例的に配分する仕組みである。この制度によりスペインでは,従業員代表と労働組合との間で交渉権限の調整が行われている。 統一代表は,制度の上では労働組合とは別個のものとして設計されている。しかしながらその活動実態をみると,労働組合の存在を背景として従業員を代表する者が選出される傾向が強い。スペインでは統一代表に対して労働協約の締結権限も付与されているが,これは従業員代表が労働組合を代表する性格も兼ね備えていることに由来するものと思われる。
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