オーストラリアのビクトリア州では、知的障害のある犯罪行為者の特別手続を実施していることから、その現状を視察し日本の支援活動との比較をするために、メルボルンに1か月滞在し、調査研究を行った。 ①Melbourne Magistrate Courtでは近年、特別法廷として、障がいを有する被告人を対象とするAssessment and Referral Court List(ARC List)、軽微事案の被疑者・被告人に対して各段階で多様なサポートにつなぐことを目的とするCourt Integrated Services Program(CISP)といった、従来の司法的対応の枠を超えたプロジェクトが展開されていた。 ②Yara市にあるNeighborhood Justice Centre は、修復的司法の理念に沿って設立された裁判所で、明るい円卓の法廷は、事件関係者や支援者を交えたConference形式で行われる。法廷以外にも多数のMeeting RoomやConsulting Roomを備え、また、自治体、矯正保護局、民間の犯罪行為者・DV被害者等への支援を行う団体の支部が、同じフロアに置かれていた。 ③Disability Forensic Assessment and Treatment Service (DFATS)は、対人援助省(DHS)管轄の、障がいのある行為者に対するアセスメントと処遇を行う施設で、グループホームのような形式で生活する入所エリアと、外部からの通所エリアとを併設している。刑事施設に収容されている障がいのある人に対してもここに所属する職員によるアセスメントやアドバイスが行われていた。 ④民間団体としては、ACSO、VACRO、HOMEGROUNDを訪問し、犯罪や非行を行った人たちの更生を支援する様々な活動を視察することができた。
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