本研究は、できる限り刑罰に依存しない刑事司法のあり方を検討し、福祉と連携した刑事司法を構築するための萌芽的研究である。日本では、近年、再犯防止を目的として諸施策の試行が拡大しているが、再犯防止概念は本人支援と社会防衛の両者を内包しており、その用い方によっては、視点が本人支援から社会防衛へと容易に転換しうるものであることから、福祉の刑事司法化をもたらさないためにも、福祉は刑事司法との関係において対等性・自立性を失わないようにしなければならない。福祉連携型刑事司法が構築されるべきだとすれば、それを前提とすべきであることを明らかにした。
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