本研究は、時効制度の憲法適合性に関するヨーロッパの議論を検討するものである。ヨーロッパの議論の中でも、ベルギーにおける消滅時効法の改正、欧州人権裁判所の判例を調査し検討した。その結果、(1)ベルギーでは、附帯私訴権に関する消滅時効と憲法の関係が問題となり、消滅時効の時効期間に関する改正が行われたこと、(2)欧州人権裁判所では、時効制度に関する①法律の目的の正当性、及び②目的と手段の間の合理的な比例関係、つまり、一般的利益の要求と個人の利益に公正な均衡があることが審査され、欧州人権裁判所が、②の審査において、時効で権利を失う者に対する適正手続の存在を重視していることを明らかにした。
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